スキマ・ノート

<4>詞が書けない状況を歌にしちゃえ

  • 文 田中隆信 写真 松永卓也
  • 2015年2月24日

  

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■ボクノート(2006年)

常田真太郎 2005年夏に2枚目のアルバム『空創クリップ』を出して、次のシングルについて話し合いをする前にタイアップの話が。これまでにも自分たちの曲をコンペに出したりしたことはあったけど、先方から依頼をいただくのは初めてだったので、正直言うと面食らった。しかも、「ドラえもん」!。ビックリしたね。個人的には小さい頃から好きだった。でも、だからこそのプレッシャーもあって。

大橋卓弥 ピアノがメインになっている曲で、イントロ部分のリフレインを思いついて、それを延長させた形でAメロも作ったら、シンタくんも気に入ってくれて。

常田 三つの音を押さえて、それがちょっとずつ変化していくんだけど、コードが何か分からなくて。

大橋 あのときは、ピアノの前に座って、適当に鍵盤を三つ押しただけだった。ほとんど何も考えずにメロディーができあがちゃった感じで。だから、僕もコードが分からなくて、その場で説明したんだよね。

常田 この曲、Aメロ→Bメロ→サビという流れになっていて、サビに入るところで転調してる。普通だったら、サビが終わって2番に入るところで元のキーに戻るんだけど、サビのキーのままで2番に入るという、ちょっと変わった曲で。

大橋 シンタくんが「サビで転調して、その後戻らない曲なんて、今まで聴いたことないよ」って言うから、「聴いたことがないんだったら、僕らが初めてじゃん」って(笑)。

常田 聴いてて心地良くないからこれまでなかったんだと思ってたんだけど、スタッフからも「もっていき方次第じゃないか」って言われて。なんだか試されてる感じがしたので、「じゃあ、違和感なく作ってやるよ!」と。逆ギレしたわけじゃないけど。何気なく聴いてると1番と2番のキーが違うことに気づかない人も多いんじゃないかな? 実際にピアノを演奏してみると、2番が難しくなってることに気づくだろうけど。

大橋 そんな仕掛けがありながらも、作曲はスムーズだったね。その分、歌詞が大変だったけど。あぁ、そんな簡単にはいかないんだなって(笑)。

常田 お互いに歌詞を書いて持ち寄ったりしたけど、どれもダメで。

大橋 とはいえ、そのなかでもマシかなって思った歌詞でレコーディングして、原盤をつくるマスタリングまで終わって、リリースできる状態になって。さあ、依頼者に送ろうという時になって、「やっぱり、これじゃダメだ」って、作り直させてもらうことにしたんだよね。

常田 年末ギリギリだったから、今すぐ作らないと間に合わない。それでもなかなか言葉が浮かんでこなくて。結局、年明けの完成披露試写会では、音もタイトルもないまま、「主題歌を担当するスキマスイッチです」とだけ紹介されて。ギリギリまで待っていただいた分、いい曲を作らないといけないって、だんだん追い込まれて……。

大橋 そのうち、だったら、今の状況を書けばいいんじゃないかって話になったんだよね。

常田 そう、曲が書けないということを歌った曲。そういうのも面白いんじゃないかなって。

大橋 タイトルは歌詞の中の“僕の音”が「ボクノート」に聞こえるから、仮タイトルで付けたものがまたもや正式タイトルになった。“ノート”には手帳以外に、音色という意味もあるし、スタッフが「ドラえもんの道具っぽい」って言ったこともあって、それに決まったんだよね。

常田 「ドラえもん のび太の恐竜2006」はリメイク作品で、注目度が高かったこともあり、反響はものすごく大きかった。声優さんたちにもお会いして、大人気作品のものすごいプレッシャーと戦ってることを知って、応援したい気持ちがさらに強くなったのを覚えてる。

    ◇

 第5回(3月3日更新)は、「ガラナ」に関する秘話をお届けします。

 『スキマスイッチの本』はこちらから

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PROFILE

スキマスイッチ

1999年、大橋卓弥が自分の曲のアレンジを常田真太郎に依頼したのがきっけで結成。2003年7月、オーガスタレコードの第1弾アーティストとして、シングル「view」でメジャーデビュー。翌年にリリースした「奏(かなで)」がロングヒットを記録し、ブレイク。以後、「全力少年」「ガラナ」「ユリーカ」など、多くのヒット曲を生み出している。これまでにシングル22枚、オリジナルアルバム6枚をリリースした。公式HPはこちらから。

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