スキマ・ノート

<5>あのときスキマスイッチは終わっていたかも

  • 文 田中隆信 写真 松永卓也
  • 2015年3月3日

撮影 松永卓也

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■ガラナ(2006年)

常田真太郎 この曲は、速水もこみちさん、長澤まさみさん主演の映画「ラフ ROUGH」の主題歌に、ということで作ったんだよね。水泳部の物語だし、夏っぽい感じでテンションが上がる曲にしたいなって。

大橋卓弥 この時期が一番辛かったな。これだけじゃなくて、カップリング曲に入っている「スフィアの羽根」という曲もタイアップ(朝日放送「2006夏の高校野球」統一テーマソング)で。

常田 しかも、夏に行われるオーガスタキャンプで歌う「福耳(オフィスオーガスタのアーティストによるスペシャルユニット)」の曲も作らないかと言われていて。締め切りはどれもほぼ同じ、3曲同時進行。「ちょっと待って!」って感じだったね(笑)。背中を押されるどころか、足しか動いてない感じだったな。スケジュールの都合もあって、この頃の僕らは完全に分業制になってしまっていた。

大橋 今日はこの曲をレコーディングして、明日は別の曲のレコーディングをして。そんなふうにしないと間に合わなかったから。いま思えばうれしい悲鳴なんだけど、当時は必死で、このまま走り続けていったら何も出てこなくなるっていう恐怖感もあった。
 そんな気持ちでいたからか、「ガラナ」のレコーディングの時は、とにかくシャウトして歌うんだ!と思って、裸で歌ってた(笑)。恋愛の歌なんだけど、「カッコなんか気にしなくいいや この想いを止めるな!」とか、「ビビるんじゃねーぞ エンジン全開だ!」とか、自分を奮い立たせながら歌ってる感じだったなぁ。

常田 分業制というか、お互いの得意なところを担当して進めていたから、やり始めたら集中もできたし、効率も良かった。でも、どちらかというと商業的な要素が勝っていたかもしれないよね。

大橋 それに、使命感とか。これは初めてオリコンで1位になった曲なんだけど、同時進行の3曲を作り終えた後、すぐに3枚目のアルバムの制作に入っていたから、1位を噛(か)みしめることもないまま過ぎていったという感じ。スタッフもものすごく喜んでくれたのに、ちゃんと反応できなかった自分たちは、思い返すと、ものすごく嫌だな。

常田 辛い時期だったけど、「ガラナ」も「スフィアの羽根」も「惑星タイマー」もものすごく気に入る曲にはなったよね。この曲たちに感謝してるし、本当にいい曲が作れたなって思う。

大橋 「ガラナ」というタイトルはシンタくんが見つけてきたんだよね。

常田 夏っぽくてテンションの高い曲だから、「ハジける」イメージだった。いろいろネットで検索してた時に、ガラナという植物は熟れると実がハジけるというのを知って、「これだっ!」と。実が赤いので燃え上がるような感じもあったし。僕は二つの言葉をくっつけたりするのが好きだから「◯◯ガラナ」とか「ガラナ◯◯」とかも考えたけど、「説明的になるのは嫌だ」と卓弥が言ったので、確かにそうだねって。

大橋 ライブで盛り上がれる曲がまたひとつ増えたというのも良かった。

常田 うん。かっこよくて、かつメジャー感があって、ライブ映えする。それもテーマのひとつだったからね。

大橋 そうやって3部作を作ったら、僕はダウンしちゃった。もうエネルギーがなくなって。そこで1年間、ソロ活動をすることにして。

常田 あのとき、スキマスイッチは終わってもおかしくなかったよね。なんで、やめなかったんだろうね?

    ◇

 第6回(3月10日更新)は、「虹のレシピ」に関する秘話をお届けします。

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PROFILE

スキマスイッチ

1999年、大橋卓弥が自分の曲のアレンジを常田真太郎に依頼したのがきっけで結成。2003年7月、オーガスタレコードの第1弾アーティストとして、シングル「view」でメジャーデビュー。翌年にリリースした「奏(かなで)」がロングヒットを記録し、ブレイク。以後、「全力少年」「ガラナ」「ユリーカ」など、多くのヒット曲を生み出している。これまでにシングル22枚、オリジナルアルバム6枚をリリースした。公式HPはこちらから。

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