ノーザンテリトリー特集

太古の昔からの「アート」に触れて 忽那汐里さん<後編>

  • 2015年3月20日

忽那汐里さん(撮影 石野明子) 写真特集はこちら

 アートや写真が好きという女優の忽那汐里さん。オーストラリアの先住民アボリジニの文化に触れ、何を感じたのか。ノーザンテリトリーを訪ねた旅を振り返るインタビューの後編。(文 中津海麻子)

  ◇

前編から続く

――ノーザンテリトリーではどんなアートに出あいましたか?

 アボリジニのロックアートを見て歩きました。シドニーでたくさんのモダンアートに触れたあとだったので、そこから数千年、数万年前に描かれた壁画に、なんだかタイムスリップしたような不思議な感覚にとらわれました。同時に、オーストラリアのアートの奥深さも感じました。

 壁画を描くために使った樹液の出る木を実際に折ってみたら、白い樹液があふれるように出てきて驚きました。これに様々な色の石を削り、その粉を混ぜ、植物の茎をブラシにして使ったのだそうです。紙もペンもない時代に、自然の道具を使って描く。まさにアートの原点ですよね。

 ただ、アボリジニの壁画は、文字の文化を持たない彼らが色々なことを残し、言い伝えるための「記録」だった。今の時代でこそ「アート」とされていますが、とても暮らしに身近な存在なのです。私は、アートでもなんでも、「作りっぱなし」に共感できなくて。何かを作って人に見せるからには、モラルや何かしらの理由がなくては成立しないと思っています。そういう意味では、歴史の記録であり、先祖からの教えや知恵の伝承という目的のあるアボリジニのロックアートは、究極の作品だと思います。

――アボリジニの楽器で、世界最古の管楽器と言われるディジュリドゥを吹く経験もされたとか。

 はい。吹くのがとても難しくて、唇を振動させながら口を離さず、鼻から呼吸して音を出すのです。実は小学校のアボリジニについての授業で体験したことがあったのですが、複雑なメロディーは奏でないので、正直あのころはちょっと退屈で(笑)。ところがノーザンテリトリーで聴くと、体と楽器だけで奏でられた、まるで大地と一体になるような太く響くその音が体にスーッと入ってきた。現地では、この楽器に魅せられ渡豪したという日本人演奏家の方にお会いしました。「ぼくにとって音楽のおもしろさを伝えてくれる楽器」と言われる意味がとてもよくわかる、魅力的で神秘的な音色を奏でる楽器でした。

――ノーザンテリトリーの旅で、俳優として演じたり表現したりすることに何か影響はありましたか?

 何が、というのを具体的に言葉にするのは難しいけれど、あると思います。俳優は、色々な条件の中で様々な感情と向き合い、それを表現する仕事です。経験が多ければ多いほど、そして、自分の中にたくさんの情景を持っていればいるほど、演技の幅は広がる。そういう意味で、壮大な自然、悠久の歴史に触れたノーザンテリトリーの旅は、私の中で何かの核のひとつとなったはずです。

――次にノーザンテリトリーを訪れる機会があったら、訪れたい場所、やってみたいことはありますか?

 ゆっくりドライブしたいですね。道が広くてどこまでも続いていて、信号も全然ないので(笑)。旅が好きで、休みができたら思いつきでふらっと出かけるのですが、観光名所を見て歩くことにはあまり興味がなく、ただいつもとは違う場所に自分を置き、そこの雰囲気を味わうのが好きなんです。そういう旅にノーザンテリトリーはぴったり。気ままにハンドルを握って、大自然を心行くまで堪能したいですね。


コート/HAIGHT&ASHBURY http://haightandashbury.com/
トップス、スカート/THE BRISK http://the-brisk.com/
その他スタイリスト私物

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忽那汐里(くつな・しおり)
 1992年生まれ。オーストラリア・シドニー出身。2006年、第11回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。映画『マイ・バック・ページ』(11年)、『ペタル ダンス』(13年)、『許されざる者』(13年)などに出演。第85回キネマ旬報新人女優賞、第37回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。
 今年12月公開の日本・トルコ合作映画『海難1890』ではヒロインのハル/春海役をつとめる。


>>ノーザンテリトリーの特集はこちらから


アボリジニの聖地である世界遺産「ウルル」で満天の星空のもと楽しむディナーや、壮大な自然景観と野生の動植物との遭遇体験「カカドゥ」と、そのゲートウェイで世界中の若者が集うトロピカルリゾート「ダーウィン」など――。ノーザンテリトリーには、想像もつかないほどの絶景と、大自然を肌で感じられるアトラクションがいっぱい。壮大なスケールのノーザンテリトリーを満喫できるツアーを多数ご用意いたしました。
WEBサイトをご覧ください。

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