山道具日記

<44>山にもキャンプにも旅行にも。「グレゴリーのワレット」

  • 写真 野川かさね 文 小林百合子
  • 2017年1月10日

こちらは野川さんの愛用品。現行モデルとデザインが少し違いますが、構造はほぼ同じ。カラーやグラフィックの展開が豊富なのもうれしいところです

  • こちらは野川さんの愛用品。現行モデルとデザインが少し違いますが、構造はほぼ同じ。カラーやグラフィックの展開が豊富なのもうれしいところです

  • 小銭入れは内側に。誤ってジッパーが開いて小銭が出ちゃうこともありません

  • 定期入れも装備。登山の行き帰りにはバスのチケットなどを入れておきます

  • カードポケットの裏にある「隠しポケット」には健康保険証などの貴重品を入れます

 この連載でも何度かご紹介している「山の財布」。登山経験が増えるにつれ、どんどんシンプルになっていくのが常ですが、初心者時代からずっと使い続けている財布があります。山からキャンプ、旅行へ。活躍の場を変えながらも、ずっと側にある、古参の山財布のお話。

    ◇

 山で使う財布って、面白いです。登山初心者ほどポケットがいろいろ付いた、しっかり系の財布を使っていて、ベテランになるにつれて機能が超シンプルになっていきます(友人のベテラン登山者は、「財布なんてこれで十分」と、小さなジッパー付きビニール袋を使っていました。笑)。

 登山を始めたばかりの頃は、とにかく不安がいっぱいで、無用なクレジットカード(山では決して使えません!)をたくさん携帯してみたり、なぜかTポイントカードを入れてみたり、無駄に財布がパンパンになっていたものです。

 結局のところ、山に行って帰るのに必要なのは、交通系のカードと銀行のキャッシュカード、健康保険証と、少しのお金だけです。しばらく山に登るとだんだんそれがわかってきて、すると次の段階では防水性に気持ちが流れていきます。「汗や雨でお札がぬれたら大変!」ということで、完全防水仕様の高価な財布を買い求めたりするわけです。

 もちろん私も同じ道を歩んできました。だから家の中にはさまざまなアウトドアウォレットがいっぱい(笑)。もちろん普段、街で使うようなデザインではないので、出番をなくしてタンスの肥やしとなっています。

 そんななか、今でも現役で活躍しているのが、グレゴリーのワレット。じつはこれ、野川さんも柄違いで愛用しているもので、お互い登山初心者の頃に使っていたものです。最近ではもっと機能がシンプルなものを使っていますが、キャンプや海外旅行時には、ふたりとも決まってこの財布。「山で使うにはちょっと大げさだけれど、それ以外の屋外活動にはぴったり!」ということに、ある段階で気がついたのです。

 二つ折りで、開閉部をベルクロで閉じるタイプ。カバンの中に入れてバタバタと走っても、二つ折りがパカッと開くことはありません。札入れには仕切りがついているので、私は仕事柄、お札と領収証を分けて収納。記録魔の野川さんは、片方の札入れに乗り物のチケットの半券などを保管しています。

 アウトドアワレットにしてはカードポケットがたくさんあるので、海外旅行など、いろいろなカードを携帯するシーンではすごく役立ちます。旅行中は、定期入れ部分にその街の地下鉄カードや回数券を入れておくととても便利です。

 ナイロン生地なのである程度の撥水(はっすい)性があり、少々の雨なら問題なし。引き裂きや摩耗にも強く、お互い10年近く使っているのに、まだまだ元気に現役です。

 この連載でも何度となくお話していますが、アウトドアの道具を旅先で使うと、その機能の素晴らしさが本当によくわかります。かゆいところに手が届いて、丈夫でコンパクト。もし私が登山なんてやっていなかったら、海外に大きな長財布を持って出かけては「邪魔だ」とか「重い」とかブーブー言っていたことでしょう。

 山の道具は、登山者の経験によって「使いやすい」基準が変わってきます。だから、「まだまだ使えるけど買い替えたい…」と思うのは当然のこと。そんなときは、役目を終えた道具が次にどこで活躍できるか? と考えてみてください。「なんだ、めちゃくちゃ使いやすいじゃん!」。きっと新たに輝ける場所が見つかるはずです。(ちなみに私はどうしても活躍の場を見つけてあげられないときは、ゴルフが趣味の実家の母に譲っています。「こんな便利なモノが世の中にあったのか!」と、母はいつも驚き、喜んでいます)

[PR]

PROFILE

小林百合子(こばやし・ゆりこ)

編集者。1980年兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、アラスカ大学フェアバンクス校で野生動物学を学ぶ。出版社勤務を経てフリーランスに。山岳・自然をテーマに雑誌や書籍の編集を手がける。2010年に女性向け登山雑誌『Hutte』(山と溪谷社)を立ち上げ、女性らしい視点で登山や自然の楽しみ方を提案した。著書に『山と山小屋』 (野川かさねと共著、平凡社)、『山登りのいろはーたのしい登山のヒント集』『一生ものの、山道具』(ともにホシガラス山岳会著、パイ・インターナショナル)など。



野川かさね(のがわ・かさね)

1977年生まれ。神奈川県出身。雑誌、書籍で活動するかたわら、ライフワークとして山を撮り続ける写真家。著書に『山と写真』(実業之日本社)、『山と山小屋』(小林百合子と共著、平凡社)、『山登りのいろはーたのしい登山のヒント集』『一生ものの、山道具』(ともにホシガラス山岳会著、パイ・インターナショナル)など。

&wの最新情報をチェック


&wの最新情報をチェック

Shopping