アポロサターンV字噴射口(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
インドネシア共和国(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
ジェミニ9A耐熱タイル(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
スペースシャトル・ロケットブースター(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
シャトル組立棟(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
インドネシア共和国(瀧本幹也『LAND SPACE』より)
瀧本幹也さん
アポロサターンV字噴射口(瀧本幹也『LAND SPACE』より)カンヌ映画祭審査員賞を受賞した「そして父になる」(是枝裕和監督)で撮影監督を務め、CMではトヨタの「ReBORN」やダイワハウスなどの話題作を手がけ、スペースシャトルと地球の姿を収めた写真集「LAND SPACE」も発表した。映画・CM・写真という三つのカメラを使い分ける稀有なカメラマン、瀧本幹也さん(38)。撮影秘話をはじめ、映像の可能性や創作の根源について語った、90分にわたるインタビュー。5回にわたってお届けする最終回。
◇
――それにしても、LAND(大地)とSPACE(宇宙)をどうして組み合わせようと思ったんですか。
初めから、そう考えていたわけではないんです。最初は全く別のシリーズとして撮っていました。
宇宙事業を調べていくうちに、軍需産業に密接でもある、ということに気づかされました。NASA(米航空宇宙局)は「宇宙へのロマンですよ」なんていう感じで、ヒーローの物語みたいに演出してますけど、実際には「世界でもっとも燃費の悪い乗り物」でもあるらしい。
いずれにしても、スペースシャトルをどうとらえていくのがいいのか考えることをきっかけに、ひとつの結論に達したんです。それは、人類が築きあげてきた文明の極致である、と。人類という生き物が地球上に誕生したのは数百万年前と言われています。産業革命が起きて200年余、いま人類は宇宙に進出していこうとしている。ということは「文明のひとつの象徴」だと設定できるんじゃないか。
そして、「LAND」では原初の地球、それも、人々があまり見たことのないような太古から続く大地。つまり、「惑星(ほし)としての地球」を撮りたくて。おそらく数億年前とそんなには変わっていないだろう、という風景を拾っていったんです。
一見、正反対のモチーフですが、別々に撮っていくうちに不思議と両者に類似性が見えてきたんです。アポロの噴射口(写真1枚目)が火山の火口(2枚目)に見えたり、シャトルの姿が奇岩に見えたり。あるいは、ロケットの先端につくブースター(4枚目)が炉心に、組み立て棟(5枚目)が原子力発電所の建屋に見えたりもする。意図したことではないのですが、視点を変えると、「地震と原発」という見え方もするかもしれません。
――この写真集で伝えたいのはどんなことでしょう?
作家の平野啓一郎さんは、写真集につぎのような言葉を寄せてくださいました。
《LAND SPACE》は、地球であり、宇宙であり、人間であり、自然であり、思想であり、
物語である。そして、もちろん、そのすべてである写真である。
写真でも映画でも、いろんな受け止め方があるじゃないですか。たとえば、「そして父になる」では、父親である人が見るのとそうでない人が見るのとでは受け止め方が違うだろうし、同じ父親でも置かれた状況によって違うでしょう。それと同じで、写真もいろんなとらえられ方があっていいと思うんです。
そのために、ギリギリわかるかわからないかというぐらい抽象的に撮ったんです。あえてわかりにくいぐらいに撮るほうが、受け手の想像力がかきたてられるんじゃないかと思います。あれっ、なんだろうこれって、興味がわく。だから、なにか足りないぐらいにしているんです、引き算で。
CMでもパッと見てわかるように撮るよりも、見た人が考えたり想像をふくらませたりするような仕掛けがあった方がなにか引っかかる。世の中には、わかりやすすぎるものがあふれているので、わからないもののほうが逆に記憶に残ったりするんじゃないでしょうか。
わかりやすすぎると、人は想像しようとしなくなりますよね。なるべく写らないように写すことを心掛けています。僕の作品を見て、なんだろうこれって考えてもらえればうれしいです。(おわり)
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