
今年でデビュー45周年を迎える前川清が座長を務める「七月特別企画公演」が大阪新歌舞伎座で開かれている。元宝塚宙組トップスターの大和悠河がマドンナ的存在となって、作品に大きな華を咲かせた。
和モダンな新歌舞伎座のロビーでは観劇弁当、お土産などが豊富に販売され、「観劇を楽しむ特別な1日」の高揚感にあふれている。客席に花道があり、赤ちょうちんの飾りや、舞台との距離の近さも印象的だ。空気はほっこりのんびりしていて、定期的に観劇する「劇場についた」お客さんも少なくない。宝塚大劇場とは違った雰囲気の舞台となった。 第1部は「東海道凸凹(でこぼこ)珍道中」という、痛快時代劇コメディーだ。
女芸人をそろえた桃千代一座の面々は、人気がかげって金に困り、上方へ戻ることを決意していた。一座の看板役者、お蝶(大和)も旅支度を始めるが、そこへ紙屑(かみくず)屋見習いの清太郎(前川)と親方の留吉(左とん平)が通りかかる。留吉は記憶喪失の清太郎を引き取って弟子にしたと言うが、凸凹コンビのおかしなやりとりに、みんなはあきれるばかり。一座が東海道へと旅立ったあと、再び紙屑拾いを始めた2人は、偶然、やくざの一味が商人を殺害する現場を目撃してしまう。2人は追われる身となり、東海道へと逃げる旅が始まったのだが……。
お蝶は武家の娘だが、わけあって旅役者をしている。父を殺した、腕に牡丹(ぼたん)のあざがある侍を探すために、一座と行動をともにしていたのだ。一座は陽気な座長を含む女形2人をのぞけば、あとは全員女性というだけに、若衆に扮したお蝶の麗しさが際立つ。長身で抜群のスタイル。そして、パッと花が咲いたようなオーラを漂わせるのは、さすが元男役のトップスター。その凛々(りり)しさは健在だ。
ひょうひょうとした持ち味を生かした前川と、大御所・左のかけあいは爆笑の連続。ベテラン2人の絶妙な間合いに、大和が思わず吹き出しそうになる場面も。止まらないボケと弾丸ツッコミの2人、そしてマドンナ役の大和。3人のコントラストがまたおかしくてたまらない。
悪者に追われる清太郎と留吉をかばいながら、東海道を西へと逃げる桃千代一座。お蝶はついに父の仇(かたき)を見つけ、華麗な立ち回りを披露する。やがて、謎だった清太郎の素性が判明すると、どんでん返しの展開へ。悪者も囚われ、清太郎とお蝶もめでたく結ばれ、物語は大団円を迎える。大いに笑って、ほろりとさせられて。客席に広がるお客さんの満開の笑顔が、その満足度を物語っているようだった。
第2部は、トークも盛りだくさんの歌謡ショー「前川清オンステージ ザッツ・エンターテイメント!!」。トークコーナーに左とともに加わった大和は、大きく胸元が開いたセクシーなキャミソールに黒のロングジャケットスーツ。サザンオールスターズの「真夏の果実」を熱唱したり、ショートコントを披露したりして、観客を魅了した。さらに、「シカゴ」のシーンでは女性ダンサーを率いて、銀ラメのミニスカートドレスでダイナミックにダンスを披露した。
お弁当を買って心躍らせながら1日を楽しむイメージの新歌舞伎座。芝居、ショーともに、そんな客層にふさわしく、「まったり」「ほっこり」「ゆっくり」なやさしさにあふれている。その中へ飛び込んだ大和の存在は、舞台に大輪の花を咲かせ、刺激的なスパイスのようだった。(フリーライター・さかせがわ猫丸)
◆新歌舞伎座「七月特別企画公演」
《大阪公演》2013年7月25日(木)まで 新歌舞伎座
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