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昨秋から代官山蔦屋書店と復刊ドットコムが取り組んできた「料理書の名著 復刊プロジェクト」が、本格的に動き始めた。
復刊第1弾は、辻静雄ライブラリー・全7巻の1巻目『フランス料理の手帖』(1973年初版、2013年7月19日復刊)。
表紙の写真を見て欲しい。渋い二枚目、オープンマインドな笑顔。「まずは、キャヴィアで始めるとするか……」と、ちょっと気障な台詞で食エッセーは始まるのだが、こんな魅力的な大人の男が言うなら、許せちゃう。かの地の超一流の人たちから教わったワインの選び方、メニューの読み方、チップの渡し方などの話も書かれていて、40年以上も前の話なのに、実に興味深い。
元新聞記者の辻は1960年、辻調理師学校(のちの辻調グループ)創設に携わった。たびたびヨーロッパに渡り、レーモン・オリヴェ、ジャン・トロワグロ、ポール・ボキューズなどの大シェフたちと深い親交を結び、料理に関するさまざまな洋書を蒐集し、研究、翻訳した。また、たくさんの著作を通して私たち日本人に、フランス料理などの外国料理を広く紹介した。
生誕80年、没後20年という大切な年に、名著を再び世に出せて、本当にうれしい。今後も『うまいもの辞典』『エスコフィエ』『舌の世界史』『フランス料理を築いた人びと』『料理人の休日』『料理に「究極」なし』と、毎月1冊ずつ復刊していく予定なので、ぜひ、稀代の料理研究家の世界に触れていただきたい。
今回の復刊プロジェクトのきっかけは2011年、代官山蔦屋書店のオープン時にまで遡る。
長年勤めた出版社を辞め、書店員へと転身した私は、担当する料理書フロアの核にしようと、編集者時代からなじみ深かった本を100冊ほどリストアップした。ところがその3分の2以上の本が、絶版か重版未定になっていたのだ。
新婚時代の私のバイブル、『丸元淑生のシステム料理学』(1982年初版)も、料理することが楽しくなる、檀晴子の『檀流クッキング入門日記』(83年初版)も絶版。料理本の世界に革命を起こした、桐島洋子の『聡明な女は料理が上手い』(76年初版、2012年9月復刊)も、その時点では流通していなかった。
どれもいい本なのに、本当にもったいない……。
しかし、同じく絶版になっていた『私の洋風料理ノート』(佐藤洋子著、1973年初版)が復刊されているのも発見した。この昭和の料理研究家の名著は、「復刊ドットコム」から刊行されていた。同社はウェブ上でリクエストを募り、100票以上集めた絶版本を出版する復刊専門の出版社だ。
そうか、今はない本でも、復刊すればいいのだ。そうして、プロジェクトは始まった。
復刊には手間がかかる。さまざまな理由で、復刊の了解を得られない場合もある。でも、名著がこのまま姿を消すのを、黙ってみているのは忍びない。
7月1日からは、オンラインストアでもリクエストを受け付けている。店頭はもちろん、インターネットでも投票していただきたい。
あなたが手に入れたい、料理の名著を復刊させます!
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食べることは生きること――。代官山 蔦屋書店の料理本コーナーは「医食同源」をテーマに掲げ、書籍や食品をセレクト。女性誌の元編集長として培った知見をもとに、コンシェルジュとして個性的な提案をしている。
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