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8月は読書感想文の季節でもありますね。というわけで今回は、名作2冊を紹介いたしましょう。
1冊目はサン=ペグジュペリの『星の王子さま』。マントを着た王子さまの絵は有名で、グッズを持っている人も多いでしょう。
でも実際あの作品を読んだことのある人は、どれくらいいるかしら。絵をよく見ると、王子さまに表情がないのも気になります。
砂漠に不時着した飛行機士の元に、王子さまのかっこうをした小さな子供がやってきて、こう言います「ヒツジの絵を描いて!」。
墜落機は直せるのか、生きるか死ぬかの瀬戸際にある飛行士に、この星から来た王子さまはまとわりつき、質問ぜめにしたり自分の星の様子や今までの旅のことを語ったりします。もちろん絵を描いてというおねだりも。
ただでさえ大変な状況のところに、手間のかかる、相手になってやらなければいけない、守らねばならない、子供が来る。でもそれが、不思議と救いになる。この作品は、子供というものの本質を書いているのではないでしょうか。戦時下や災害時、子供は「足手まとい」。でも殺伐とした状況の中で、希望や癒しが見出せるとしたら、それは子供の存在なのです。王子さまの絵に表情がないのは、彼が今笑っているのか悲しんでいるのか、読者に向きあわせ、読み解かせるためかもしれません。
2冊目は太宰治の『走れメロス』。この作品は教科書収録率が高いようで、読んだことのある人が多いですが、内容を間違えて覚えている人がけっこういる!「ゴールの期限があり、メロスが城に向かって走る」というのは覚えていても、「メロスって、途中で寝ちゃって間に合わなかったんでしたっけ?」なんて。それは「兎と亀」ですよ!
ふとしたことから残忍な王に死刑を宣告されたメロスは、「村にいる妹の結婚式に出たい。必ず明日の日没までに戻る」と王に願い出、自分の親友を身代わりに置いていきます。つまりメロスは自分が死刑になるために全力で城に戻るのです。王は彼の耳元で「わざと遅れて来い」と囁きます。どうする、メロス。
太宰治はクールなイメージの作家ですが、物語中「走れ、メロス!」とびっくりマークつきの一文があり、あの太宰がメロスに肩入れし、熱くなっている、と思うと微笑ましく、感動が増します。
夏休み、この2冊の名作をぜひ!
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代官山 蔦屋書店の文学コンシェルジュ。雑誌などで書評連載を多数持ち、年間700冊以上読むという「本読みのプロ」。お店では、間室手書きPOPが並ぶ「間室コーナー」が人気を呼ぶ。
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