イタリアン

アルプスのふもと 滋味深い山の幸を味わうピエモンテ料理

  • ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク特集(1)
  • 2013年10月8日
「トルナヴェント」オーナーシェフ 小林省吾さん(撮影 石塚定人)

  • 「トルナヴェント」オーナーシェフ 小林省吾さん(撮影 石塚定人)

  •   

  • カプネット(ちりめんキャベツのオーブン焼き)

  • タヤリン

  • コニッリョ・アル・ヴィーノロッソ

  •   

  •   

 11月2日から17日までの16日間にわたり、イタリア料理の祭典「ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク」が開催される。関東を中心とした地域の170店舗が参加し、通常よりもお得な価格で有名店や新進気鋭のシェフの味を楽しむことができる。地域によって特徴が大きく異なるイタリア料理。それぞれの魅力を、4回にわたって紹介する。まずは、ピエモンテ料理を提供する東京・西麻布の「Tornavento(トルナヴェント)」から。

「トルナヴェント」料理の写真特集はこちらから

 イタリア北西部に位置し、アルプス連峰を境に北はスイス、西はフランスに接するピエモンテ州。山岳部と丘陵地が州の70%を占める起伏に富んだ土地は、内陸性気候で寒暖の差が激しい。この恵まれた気候風土が、豊かな食材を育む。

 「山にはトリュフやポルチーニといったキノコが育ち、イノシシや鹿などのジビエも。アルプス山脈から流れる水はミネラル豊富でみずみずしい野菜を生み、ふもとでは牧畜業が盛んで上質なチーズやサラミもたくさん作られています。これらの食材を使った、素朴で滋味深い郷土料理がピエモンテの食の魅力。また、バローロ、バルバレスコといった世界的なワインの銘醸地でもあり、同じ地で生まれた料理とワインは、お互いが引き立て合う珠玉の相性を楽しませてくれます」

 そう語るのは、「トルナヴェント」オーナーシェフの小林省吾さん。この地の食材や料理に魅せられ、ミシュラン1つ星を獲得した現地のレストラン「La ciau del Tornavento」などで修業を積んだ。2005年に自分の店を開いてからも、年に一度は足を運んでいる。

 洋食の世界で料理人としての一歩を踏み出した。当時、日本の洋食はフランス料理の流れをくんでおり、小林シェフもその知識と技術を身につけた。しかし、ブームの走りだったイタリア料理に出会ったとき、食材の豊かさや多彩な味わいに心が躍った。ほどなくイタリア料理の道に進み、より深く知るうちに心を引かれるようになったのが、北部のピエモンテ州だった。

 「秋が訪れると木々が赤や黄色に染まり、山ではキノコがたくさん採れる。そして、冬にはしんしんと雪が降る――。くっきりとした四季の美しさのあるピエモンテに、僕の故郷の新潟を重ねたのかもしれません」

 実際に現地で修業を始めると、それまでの常識をことごとく覆された。特に驚いたのが、肉の扱い方だ。たとえばロースト。「中はロゼ色、切ったときに肉汁があふれるようにジューシーに仕上げる」というのが、それまでに学んだ教科書的な基本だった。ところがピエモンテでは、じっくりと火を通し、徹底的に脂分を落とす調理法がある。歯ごたえはあるものの決して硬くなく、噛みしめると肉本来のうまみが口の中に広がる。

 「完全に火を入れた肉のおいしさを初めて知った。衝撃を受けました」

 と小林シェフ。肉の種類や部位によっては、生で食べたり、ほんのりロゼ色に仕上げたりする料理もある。古くから肉を食べ続けてきた土地だからこその多彩な調理法に、ピエモンテ料理の奥深さが感じ取れる。

 本格的な秋到来。「トルナヴェント」には、旬を迎えたフレッシュの白トリュフやポルチーニ茸が、現地の生産者から空輸で続々と届く。毎年足繁く通ったことで築いた信頼関係の賜物だ。鴨やイノシシなどのジビエもシーズン。野菜は国内を中心に厳選する。

 こだわりの食材は、ピエモンテの伝統に則りながら、小林シェフの感性あふれる仕事によって「トルナヴェントの料理」として昇華する。たとえば、豚の様々な部位や自家製サルシッチャなどをちりめんキャベツで包み、バターとチーズの風味とともにオーブンで焼き上げた前菜「カプネット」。現地ではそのまま供されることが多いが、シェフは季節の野菜を使ったソースを添える。濃厚で複雑な肉の味わいが繊細なソースをまとい、滋味深くも軽やかな余韻が残る。

 ダイナースクラブ イタリアン レストランウィークでは、アンティパストからドルチェまで、ピエモンテ料理の豊かさを堪能できるスペシャルコースを提供する。「Tornavento」は、イタリア語で「風が回る」の意。「この西麻布でピエモンテの風を感じていただきたい」。少しはにかみながら、小林シェフはそう言葉を結んだ。

(文 中津海麻子)


カプネット(ちりめんキャベツのオーブン焼き)

ホホ肉、バラ肉、自家製サルシッチャ、プロシュットコット(ボイルしたハム)など様々な豚肉をミンチ状にしたものを、冬が旬のチリメンキャベツで巻いて、オーブン焼きに。写真のソースは、ズッキーニ、トマト、かぼちゃ。秋から冬は、甘さを増す根菜を使う予定。

タヤリン

ピエモンテでつくられる、卵黄をたっぷり使った半生の極細パスタ。小林シェフのこだわりは「手切り」。断面や幅にバラつきが出て食感に変化が生まれ、さらに手もみで少し縮れさせることでソースがたっぷりとからむ。卵の優しい味わい、サラっとした繊細な口当たりと心地いいのどごしは、新しいパスタ体験。

コニッリョ・アル・ヴィーノロッソ

ほとんど脂のない「コニッリョ」(イタリア産ウサギ)を野菜とともにロースト。その焼き汁に少し軽めのバローロ(ピエモンテ州の銘醸ワイン)を加えて煮詰めたソースとともに。白身肉だが、土地の赤ワインを使ったソースでいただくのがピエモンテスタイル。

  ◇

「ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク」
11月2日(土)〜11月17日(日)
主催:ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク事務局/特別協賛:ダイナースクラブ(シティカードジャパン)/特別後援:在日イタリア大使館、イタリア文化会館/協力:日本イタリア料理協会
公式HP:http://www.itrw.jp/


【特集記事】

(4)八丈島から直送の魚を、豪快なシチリア料理に

(3)胃袋を開けて、飲んで食べて プーリア州の郷土料理

(2)伝統のシンプルな豪快さとモダンさ 新しいトスカーナ料理


このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

Shopping

  • ダイバーシティープロジェクト