イタリアン

伝統のシンプルな豪快さとモダンさ 新しいトスカーナ料理

  • ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク特集(2)
  • 2013年10月15日
「フリック」オーナーシェフ 深田景さん(撮影 石塚定人)

  • 「フリック」オーナーシェフ 深田景さん(撮影 石塚定人)

  •   

  •   

  • 寒ブリのタリアータ バーニャカウダ風味

  • 天草梅肉ポークラグーソースとポルチーニ茸のタリアテッレ

  • 鴨ムネ肉のロースト 季節野菜のソテー添え

  •   

 関東を中心としたイタリア料理店170店舗の参加のもと、11月2日から開催される「ダイナースイタリアンレストランウィーク」。

 「&」では、イタリアの各地方の味をベースとした4店舗を取材し、北から順に紹介している。4回シリーズのうち2回目の今回は、トスカーナ料理の「FRICK(フリック)」。

「フリック」料理の写真特集はこちらから

 緑豊かな南青山の閑静な住宅街。根津美術館を臨むガラス張りの店内には、昼どきは明るい陽射しがさんさんと降り注ぎ、日が暮れてからも白木を基調とした店内はホッと一息つきたくなる温かな空気で満たされている。

 リストランテ「FRICK(フリック)」。若きオーナーシェフ、深田景氏が得意とするのは、トスカーナ州の料理だ。

 イタリア中西部に位置するトスカーナ州。州都フィレンツェは15世紀後半から16世紀にかけ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどの芸術家が活躍し、イタリア・ルネサンスの黄金期を築いた。ピサ、シエナといった古都も擁し、文化財の宝庫でもある。一方で、都市部を離れると、なだらかな丘陵地帯には素朴な田園風景が広がり、オリーブ畑や、「イタリアンワインの顔」とも称されるキャンティを生むサンジョヴェーゼ種などのブドウ畑が続く。西側はティレニア海に面し、北東部にはアペニン山脈が連なる。

 「海も山もあり、農村が広がるトスカーナ州は食材が豊富。その素材の味わいをダイレクトに表現するのが、トスカーナ料理の特徴であり、僕自身が心をつかまれた最大の魅力です」

 深田シェフは、東京・代官山の名店「リストランテ・カノビアーノ」の植竹隆政シェフに師事した後、2002年、修業のためイタリアへ。ロンバルディア州、ピエモンテ州でも働いたが、1年半という多くの時間をトスカーナ州のリストランテの厨房で過ごした。

 「日々の仕事は厳しかったですが、休日にはシェフのお母さんが食事を振る舞ってくれたりもしました。自然が豊かで、その素朴な風景の中で味わうマンマの料理は最高。僕は東京生まれの東京育ちで『田舎』がないので、とにかく新鮮でした。今も、トスカーナは第二の故郷です」

 目の前に広がる畑をながめながら、生産者たちと会話し、料理やワインを味わう。その貴重な経験が、「作り手の顔の見える素材を、最高の一皿に仕上げる」という、シェフの仕事の礎を揺るぎないものにした。06年に帰国。東京・丸の内の「イル・ギオットーネ」で笹島保弘シェフに師事、料理だけでなく店舗経営についても学び、08年に独立して「FRICK」をオープンした。

 料理は、イタリアで学んだ技術やセンスを、実際に畑に足を運んだ信頼できる国内の生産者から取り寄せた素材を使って、皿の上に表現していく。トスカーナは、Tボーンカットした牛肉を炭火で焼いた「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」や、トリッパや野菜の煮込み料理など、素朴で豪快な料理が多いが、実はここ数年、世界の料理を席巻するトレンド、「食のライト化」の影響を受け、以前はほとんどなかった生野菜を使った料理なども増えてきているという。つい最近現地に足を運んだ際、その動きを体感した深田シェフは、早速自らの料理にも取り入れた。ダイナースクラブ イタリアン レストランウイークで提供されるスペシャルコースでも、前菜の「寒ブリのタリアータ バーニャカウダ風味」は、マリネしてしっとりと仕上がった寒ブリを、色とりどりの瑞々しい野菜が華やかに彩る。

 続くパスタ料理「天草梅肉ポークラグーソースとポルチーニ茸のタリアテッレ」は、豚肉とポロねぎをしっかりと煮込んだラグーソースが、トスカーナの伝統を感じさせる一品。それでいて、素材には日本で育てられた繊細な肉質と味わいの豚肉を使うことで、ボリュームがありながら軽やかな一皿に仕上がっている。

 「トスカーナの『伝統』と『新しい風』、両方を味わっていただける、ストーリーのあるコース料理を楽しんでください」

 笑顔がチャーミングな深田シェフの料理に舌鼓を打ちながら、秋の夜長をのんびり過ごしてみては?

(文 中津海麻子)


寒ブリのタリアータ バーニャカウダ風味

半日マリネしたブリを備長炭で軽くグリル。厚めにカットしてあり、ブリの深い味わいが堪能できる。季節の野菜が華やかに彩り、まるで一枚の絵画のような美しさだ。

天草梅肉ポークラグーソースとポルチーニ茸のタリアテッレ

熊本県産の天草梅肉ポークは、仔豚のころに梅肉エキスを食べて育つため、肉質が柔らかく、ほんのり甘酸っぱい風味が感じられる。手打ちのタリアテッレはしっかりとした弾力。パスタの食感、深みのあるソース、香り高きポルチーニの饗宴を楽しんで。

鴨ムネ肉のロースト 季節野菜のソテー添え

低温オーブンでローストされた鴨肉は、中がほんのりとロゼ色で、きめ細やかな味わい。ソースは、ビーツとマルサラの2種。トスカーナではごった煮風な野菜の煮込みも、皿の上の美しさにこだわるシェフは、丁寧な仕込みで色鮮やかに仕上げた。

「ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク」
11月2日(土)〜11月17日(日)
主催:ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク事務局/特別協賛:ダイナースクラブ(シティカードジャパン)/特別後援:在日イタリア大使館、イタリア文化会館/協力:日本イタリア料理協会
公式HP:http://www.itrw.jp/


【特集記事】

(3)胃袋を開けて、飲んで食べて プーリア州の郷土料理

(1)アルプスのふもと 滋味深い山の幸を味わうピエモンテ料理


このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

Shopping

  • ダイバーシティープロジェクト