イタリアン

胃袋を開けて、飲んで食べて プーリア州の郷土料理

  • ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク特集(3)
  • 2013年10月22日
「コルテージア」料理長 江部敏史さん(撮影 石塚定人)

  • 「コルテージア」料理長 江部敏史さん(撮影 石塚定人)

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  • プーリア風前菜

  • オレキエッテ

  • 馬肉のブラチオーレ 赤ワイン風味

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 関東を中心としたイタリア料理店171店舗の参加のもと、11月2日から16日間にわたって開催される「ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク」。

 「&」では、イタリアの各地方の味をベースとした4店舗を取材し、北から順に紹介している。4回シリーズのうち3回目の今回は、プーリア州の郷土料理を供する「CORTESIA(コルテージア)」。

「コルテージア」料理の写真特集はこちらから

 「ブーツ型」と言われるイタリア半島の、ヒールの部分に当たるのがプーリア州。アドリア海に面し、新鮮なシーフードが豊富に水揚げされ、内陸では羊や仔羊などの肉料理も食される。温暖な地中海性気候で、太陽をいっぱいに浴びた野菜は濃厚な味わいとなり、イタリア屈指のオリーブやオリーブオイルの産地でもある。

 「素朴でシンプルが最高においしい。それがプーリア州の郷土料理の魅力です」。

 そう話すのは、東京・南青山に店を構えるリストランテ「コルテージア」料理長の江部敏史さん。プーリア州を中心とした南イタリア料理を提供している。江部シェフは、アルポルト、ヴィーニ・ディ・アライなどの国内の名店で腕を振るった後、1994年渡伊。フィレンツェ、ボローニャとともに修業の地に選んだのが、プーリア州ターラントだった。

 「フィレンツェやボローニャは日本の厨房で働くのと大差なかったけれど、プーリア州では料理人たちの野性的な雰囲気にビックリ(笑)。プーリア人は喜怒哀楽が豊かで、情が深いんです。そして、海に面して他国からの侵略にさらされてきた歴史の影響もあり、そのとき手に入る食材をとても大事にし、シンプルだけどおいしく食べる術を知っている。そういうプーリアの人々とその食文化に深い感銘を受けました」

 自らも南部イタリア人キャラの江部シェフは、すっかり現地の人たちと意気投合。その後も足を運んで知識と思いを深め、2006年に「コルテージア」の料理長となってからは、現地から直接取り寄せた珍しい食材も使ってプーリアの食の世界を表現する。ワインの生産者を招きプーリアのワインと食とを楽しむ会を催すなど、店はプーリア食文化の発信地でもある。

 今回のレストランウイークで提供するスペシャルコースも、プーリア州の郷土色を堪能できる内容になっている。まず前菜はなんと6皿! 盛り合わせもあるので品数は10種におよぶことも。実は、前菜の種類が多いのはプーリア州の特徴だとか。

 「現地では前菜のことを『アプリストマコ』と言うこともあるんです。日本語だと『胃袋を開ける』の意。プーリアではディナータイムがとにかく長く、夜中まで飲んで食べてを心ゆくまで堪能します。多彩な前菜は、そのめくるめく宴に続くおいしい胃のウォーミングアップ、といったところでしょうか」(江部シェフ)

 そのときどき手に入った食材を使うため、「6皿」「10種」はあくまでも目安。もっと多いこともある。どんなアプリストマコに出会えるかは、その日のお楽しみだ。

 パスタはプーリア州の定番「オレキエッテ」。耳たぶの形のショートパスタで、手打ちならではのモチモチとした食感が心地いい。オレガノの清涼感が印象的なトマトソースで、仕上げにプーリア州で作られるセミハードのカチョリコッタチーズをトッピング。江部シェフによると「粉ではなく、しっかりとうまみを感じられるシュレット状をふりかけるのがプーリア流」だそうだ。

 メイン料理に用意されたのは、馬肉。プーリア州では、羊などに並んで馬肉をよく食す。赤ワインでしっかり煮込まれた素朴で深みのある味わいは、ぜひこの地の土着品種、ネグロ・アマーロやプリミティーヴォから造られた濃厚な赤ワインと合わせてみたい。

 プーリアの食は「クチーナ・ポーヴェラ」と表現されるという。訳すと「貧しい料理」。手に入るものや残りものをうまく使ったお金のかからない料理という意味だが、「そのときどき手に入る食材を慈しみ、素材を活かしながらも工夫しておいしいものを作る。そして、食べること、飲むことを大切にする。そんな『プーリアイズム』は、僕にとっては貧しいどころか最高に贅沢!」。そう言って、江部シェフは満面の笑みを見せた。

(文 中津海麻子)


プーリア風前菜

野菜あり魚介あり肉あり、冷製に温製も! 品数はそのときどきによって変わるというのも楽しい。生乳入りのモッツァレラチーズ「ブッラータ」(カプレーゼに使用)、日本ではほとんどお目にかかれないプーリアの生ハム「カポコッロ」など珍しい食材も。

オレキエッテ

プリモピアットのパスタ料理。セモリナ粉100%の自家製手打ちパスタ。オレガノがさわやかなプーリア産トマトのソースで。オレガノは、プーリアにいるシェフの友人の庭で獲れたものだとか。

馬肉のブラチオーレ 赤ワイン風味

豚脂、ニンニク、ペコリーノ、イタリアンパセリを、馬肉でロール状に包んで煮込んだ一皿。普通はトマトソースを使うが、赤ワインで煮込み、深みのある味わいに。プーリアのワイン生産者が来日したときに供された。

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「ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク」
11月2日(土)〜11月17日(日)
主催:ダイナースクラブ イタリアン レストランウィーク事務局/特別協賛:ダイナースクラブ(シティカードジャパン)/特別後援:在日イタリア大使館、イタリア文化会館/協力:日本イタリア料理協会
公式HP:http://www.itrw.jp/


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