島めぐり

小豆島<2> 古民家の食堂で極上のおにぎりを

  • 文・写真 宇佐美里圭
  • 2014年2月25日

 NPO法人「DREAM ISLAND」を立ち上げて1年。再び運命的な出会いがあった。

 瀬戸内国際芸術祭を企画していたアートディクレクターの北川フラムさん。副理事の連河健仁さん(41)は、県の職員から紹介された。

「北川さんが考えていたのは、“いまある風景をどう残していくか”でした。この辺りの里山は過疎化が進み、後継者がいません。このままいくと、この10年で日本中のあちこちの原風景が崩壊する。誰かが守って行かないといけない、と僕らも考えていました」

 ふたりは意気投合し、瀬戸内国際芸術祭の期間中、「DREAM ISLAND」が千枚棚のある中山集落でカフェをすることになった。とはいえ、飲食業の経験などまったくない。ともにNPOを切り盛りする立花さんは大反対した。「知ってるでしょ? 私、レンジでチン歴10年だよ!」。周りのだれからも反対され、北川さんのもとに断りに行くつもりだった。

 しかし、北川さんを目の前にして出た言葉は「はい、やらせてください」。隣にいた立花さんはあっけにとられた。

「つい言ってしまったんです(笑)。まともに考えたらバカだけど、みんなに反対されるとやりたくなっちゃうんですよね。あの場所でとれたお米のおにぎりを、棚田を見ながら食べられたらいいなってなんとなく思っていたので……」

 連河さんの提案で、店のコンセプトは「おにぎり食堂」に決まった。それから苦労して古民家を借り受け、ゴミを捨てて片付けをして、なんとか場所を整えた。

 2010年7月、芸術祭に合わせて、なんとか店をオープンさせた。だが、店の看板になるはずの「おにぎり」が作れなかった。

 飲食業のプロに指導された通りにつくっても、夏だけに2、3時間で傷んでしまって売りものにならない。ごはんの上に目玉焼きとハンバーグを載せた「ロコモコ」に切り替えたが、客は来ない。2カ月で大赤字を出した。

「ああ、やっちゃったかな……と絶望的になりました。でも、そのとき、北川さんに呼ばれて一喝されたんです」

 連河さんはスタッフを集め、もともとやりたかった“おにぎり食堂”をする、と宣言した。半分のスタッフが立ち去ったが、再チャレンジすることにした。

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