『TVBros.』なぜ番組表終了?

  • 記事提供:ORICON NEWS
  • 2018年4月26日
  • リニューアル化の意図を語る『TVBros.』の木村親八郎編集長

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     『TVガイド』などのテレビ情報誌を発刊する東京ニュース通信社が刊行する『TVBros.』(以下、ブロス)が、この春大きなリニューアルを発表した。1987年7月の創刊以来、続けてきた隔週発売から月刊への移行、そして番組表の掲載終了だ。ほかのテレビ雑誌とは一線を画した斬新な特集と、爆笑問題、星野源、Perfumeといった多彩なジャンルの豪華連載陣で人気を集めてきた同誌が下した大きな決断。その意図に迫るべく、編集長を務める木村親八郎氏に、今回のリニューアルの狙いと今後の展望を聞いた。

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    ■テレビを取り巻く環境激変でリニューアル決断 根底にある「ブロスらしさ」は変わらず

     リニューアルをする経緯として、もちろんビジネス的な要素は否定しません。もともと350円でやってきていたのですが、僕個人の意見としては「内容的に、この値段は安いとは思うんだけど…」と考えていたんです。雑誌の部数は下がっているけど、単価をなかなか上がられないという部分と、何より隔週でやっていくことに精いっぱいだったというのが事実としてありました。僕が2年前に編集長になった時、ウェブ、連載の書籍化、ムック、イベント…というように“ブロス”というブランドを使ったいろんなアイデアがありながらも、日々の作業が多忙で動けない感じがあったので、30周年を迎えたタイミングに月刊化にして、いろんなことにチャレンジできる体制にしようと決断しました。

     まずは月刊化が決まって、次は番組表をどうするかという話になりました。そこで考えたのは、BSやCSに加えてNetflix、AbemaTV、Hulu、Amazon Primeなど動画配信サービスや、TVerのような見逃し配信サービスも充実してきて、テレビを取り巻く環境が変わってきているということです。これまでも視聴率や放送時間にとらわれず「面白い」と思った番組を特集するというのがブロスのスタイルだったので、月刊化に合わせて、思い切って番組表をなくして、取り上げる番組の間口を広げてみようと決めました。リニューアル版では、地上波、BS、配信などをひっくるめた番組解説を27ページ使って大々的にやっていきます。テレビ好きのライターに“レコメンドコラム”を書いてもらい、解説も呼んで楽しんでもらえるようにしています。番組表の横にあった、ちょっとした番組解説などが紹介されている「ブロス探偵団」の存続を心配する声も寄せられていたのですが、今後も「ブロス探偵社」として継承していくのでご安心ください(笑)。

     今回のリニューアルにあたって、テレビ局さんにもごあいさつしたのですが「ブロスらしく、今後もやってほしい」と前向きに受け止めてくださって、うれしかったです。もちろん、固定の読者の方には、番組表を目当てで買ってくださる方もいらっしゃって、番組表の掲載をやめると発表した時には電話もいただきましたし、連載をしていただいている方々の中にも、爆笑問題さんのように「逆に、番組表を続ける方がいいんじゃないか?」と言ってくださっていた方もいました。そうした声を聞いて、改めて創刊から30年以上にわたって番組表を掲載していたことの重みを感じましたし、そういった方々にこれからも手に取ってもらえるような誌面作りをしていかなければと感じています。番組表にはとても感謝していて、たまには、載っけたりしたら、みんなびっくりするかな?とか思ったりもしていますが……(笑)。

     連載陣の方々に説明させていただいた時には、やっぱりブロスはみなさんがいろいろな思いを持ってやってくださっているなと実感しました。例えば太田光代さんのところに伺った時には(光代氏が社長を務める)タイタンが立ち上がってから、爆笑問題さんの連載もはじまって…という話を聞いたり…。「月刊化したら、連載陣のみなさんにどんな反応をされるんだろう」という不安もあったんですけど、引き続きブロスでやってくださる方が多くて、松尾スズキさんは、「次は1ページから2ページにしたい」とかおっしゃってくれて、本当にありがたいなと感謝するばかりです。

     正直にお話しすると、最初はオシャレな感じにリニューアルしようかなという気持ちもあったんです。ただ、連載陣のみなさんからお話を聞いたり、社内で意見を交わす中で、すごくあいまいな表現になるのですが「30年間で培ってきた、根底にある“ブロスらしさ”を変えずにやっていく」を主な目的に据えようと決めました。連載陣の方々も僕も編集部員も「ブロスだから…」というような言い方をすることがよくあるのですが、ブロスという言葉がもはや形容詞になっているなと思います。それぞれが“ブロスらしさ”という共通認識を持っていながらも、具体的な部分は多種多様で本当に面白い。僕の個人的な見解では「なんでもあり」とか「自由にやる」という部分にあると考えていて、例えばテレビ東京さんが正月に放送した『落ちましておめでとうございます!落とし穴未経験の芸能人・落ち初め大連発SP』で注目された夏木ゆたかさんにインタビューして、放送から1ヶ月後には載せるとか、そういう部分は月刊になっても大事にしたいです(笑)。テレビにかぎっていえば、時間帯も出演者も視聴率も関係ない、ブロスが面白い!と思ったことをどんどん紹介していきたいです。

    ■“ブロスの幹”連載&コラムもパワーアップ 雑誌の枠組越え「テレビマガジンの未来を」

     連載・コラムカルチャーはブロスが作ってきたという自負があるので、リニューアル後もそこは大きな幹に据えています。引き続きやっていただく方も多いのですが、爆笑問題さん、星野源さん、Perfumeさんなど、それぞれ連載がスタートした頃から考えると、今はメジャーで大活躍されている方々が続けてくださっているのは本当にありがたいです。久保みねヒャダ(久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダイン)さん、川栄李奈さん、あいみょんさん、戸田真琴さん、ハライチの岩井勇気さん、松居大悟さん…といった新たに連載が始まる方々もいらっしゃって、さらにパワーアップした内容になっています。自分たちで言うのも何ですが、1冊の雑誌にこのラインナップがそろうっていうことはなかなかないですよね(笑)。

     リニューアルをしても、テレビは、カルチャーの中でも大きなジャンルのひとつだという部分はブレませんが、映画、音楽、舞台、漫画も含めたものも紹介していくつもりです。最近は「ちはやふる」とか「星野源」といったように点での特集が多かったですが、月刊化になるので「ドラマ特集」や「映画特集」のように、さらに広がりのある特集を組んでいきたいです。このような話をすると、『クイック・ジャパン』(太田出版 以下、QJ)と比較をされることもあるかもしれないですね。僕もバックナンバーを保存するほど好きですが、QJさんはQJさんなりにすごく変化してきていると思います。昔のサブカル路線から、今は欅坂46さんや千鳥さんを表紙にしていて、けっこううまくやっている気がして、ブロスはその辺のフレキシブルさがちょっと足りなかったなという気はしています。

     QJさんさんだけじゃなく、カルチャーを扱う雑誌は「売れているものと、どう向き合うか」というのはテーマですし、そういうものにむしろ、距離をおいた方がブロスらしいのかもしれないとも考えましたが、僕はそこに突っ込んでいってもブロスらしさを保ったまま特集をしていくことはできると思ったので、柔軟性をあわせ持ってやっていきます。シンプルに面白いと思うものを、ブロスらしく特集をやっていきたいと思います。

     ハイクオリティーマガジンが増えている中、ブロスはあくまで敷居を低く、雑多なものを気軽に読んでもらえるようにしたいと思っていますが、月刊になることで値段は隔週の350円から680円になりました。ただ、今までお話ししたように連載陣も特集もパワーアップしていますし、隔週の2冊分より安くはなっていますので、ぜひ引き続き手に取っていただきたいです。このリニューアルをきっかけとして、いろいろなことをやっていくつもりで、まずは先日発売した『別冊TV Bros. TBSラジオ全力特集』のような別冊は続けていき、アニメに特化したブロスを6月に出す予定です。

     そして、これは僕が一番やりたかったんですけど「Bros.BOOKS(ブロスブックス)」というレーベルをちゃんと作って、主にブロスの連載を書籍化していきながら、いろんな面白い書籍を出していきます。今年は数多く出せるんじゃないかなと、手応えもあります。それに、4月には間に合わなかったんですけど、秋くらいにはブロスらしいウェブサイトも立ち上げて、ブロスが持っている投稿カルチャーを生かした作りにします。隔週だと年24冊で、月刊では半分の12冊になりますけど、結果的に今まで以上に仕事量は多くなると思います(笑)。30年間、隔週時代のキャッチコピーが「The tv magazine of the future」だったのですが、月刊化と番組表の終了という決断が、ある意味キャッチコピー通りになったのかな、と思うのと……10年後には「ブロスが先取りでやっていたよね」と言われるようになっていればうれしいです。

    ■『TVBros. 2018年6月号』の主なコンテンツ

    特集1:THE NEW HORIZON 地平線の相談 およそ10周年SP

    細野晴臣&星野源の連載『地平線の相談』のおよそ10周年を記念したグラビア&インタビュー。テレビや音楽、果てはテレビブロスの月刊化についてなど、大いに語る。

    特集2:CULTURE is BORDERLESS

    川栄李奈、渡辺大知、遠藤憲一、岩井勇気ほか様々なジャンルの第一線で活躍する人物が注目する『CULTURE』について熱いトークを展開する。

    ススめ! ブロス探偵社~5月テレビ番組解説&コラム~

    地上波、BS、配信などなどひっくるめた番組解説を大ボリュームで掲載。各界の著名コラムニストや、ついに結成された謎のテレビマニア集団「ブロス探偵社」が、さまざまな番組の面白さ、見どころを誌面の限り紹介。これからのテレビ生活が充実する必見のコーナー。

    連載

    松尾スズキ、爆笑問題、細野晴臣×星野源、岡村靖幸、大根仁、岩井秀人、マキタスポーツ、清水ミチコ、光浦靖子、Perfume、風間俊介、きゃりーぱみゅぱみゅ、川谷絵音、大森靖子、鈴木涼美、天久聖一、掟ポルシェ、細川徹×五月女ケイ子、片桐仁、久保みねヒャダ、川田十夢(AR三兄弟)、しりあがり寿、友沢ミミヨ、おおひなたごう、松江哲明、てれびのスキマ、豊﨑由美、松居大悟……and more(予定)

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