太陽のまちから

少子化反転の「世田谷モデル」づくり

  • 文 保坂展人
  • 2014年4月22日

写真:待機児童問題の解消をはじめ、子育てしやすいまちを目指す(世田谷区提供) 待機児童問題の解消をはじめ、子育てしやすいまちを目指す(世田谷区提供)

 2009年から始まった日本での人口減少は、いよいよ本格化しています。総務省が4月15日に発表した昨年の人口減少は21万7千人で、日本の生産年齢人口が32年ぶりに8千万人を下回った、と報道されています。11年以降、20万人台での減少が続いています。

 今後、人口減少はより顕著になっていきます。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、20年の東京オリンピック・パラリンピックまでの10年間で、なんと396万人減少する、とされています。 横浜市の人口とほぼ同じ規模の人口が消えることになります。

 東京都は、今のところ人口微増を維持していますが、20年の1336万人をピークに減少に転じるとされています。

 こうした全国的傾向に反するように、世田谷区の人口は増加しています。11年4700人、12年5400人、13年6800人と、3年間で1万6900人の増加となりました。世田谷区の人口推計では、これからしばらくの間、ゆるやかに増加していくようです。

 さらに、世田谷区の特色は5歳以下の乳幼児の子ども人口が増えているという点です。この5年間、5歳以下の子どもたちが毎年1千人ほど増えているのです。待機児童の解消のために保育園を整備して定員を拡大しても、なかなか追いつきません。その原因のひとつは乳幼児の子ども人口増です。しかも、第2子、第3子も多く、区内では「少子化社会」を実感することはありません。日本中、ほとんど例のない「子ども増社会」が出現しているのです。

 「待機児童過去最多」(13年、884人)を更新しているにもかかわらず、年間1千人ほど子どもが増えているというのは、妊娠から出産、そして乳幼児、未就学児の保育や幼児教育、地域コミュニティ、学校教育等を含めた総合的評価によるものではないかと思います。また、環状8号線の周辺と西側に集合住宅が増えていることも一因です。

 急増する「子育て支援策」に充てる予算と人員も増やしています。加えて、総力をあげて子ども・子育て支援を充実させていくために、今後10年間にわたる世田谷区の「基本計画」の副題を「子どもが輝く 参加と協働のまち せたがや」としました。子どもたちの存在をしっかりと受け止めて、10年かけて地域として支えていこうという決意を込めました。

 子どもや乳幼児の増加傾向を定着させていく地域と社会システムを構築することで、少子化を反転させる「世田谷モデル」をつくりだし、時代の流れに一石を投じたいと考えています。少子化は、労働市場の規制緩和によって格差が拡大し、若い世代が不安定な雇用の枠組みから抜け出せない構造になっていることも大きな原因です。

 子ども・子育て支援は、若者支援と地続きの政策です。中高生の居場所や活動拠点を創り出していくことや、生きづらさを抱える若者支援の場や相談窓口も準備していきます。世田谷区内部の行政組織も、保育・子育て支援・児童館等を扱う「子ども部」から、若者支援を加えて「子ども・若者部」に名称変更しました。

 地域でできることには限りがありますが、子ども・若者の未来の可能性は無限です。前に踏み出していく足場やチャンスを提供していきたいと思います。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03~05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。


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