リノベーション・スタイル

<72>思い切りギターを弾ける防音室を

  • 文 石井健
  • 2014年6月25日

  [K邸]
 Kさん
 東京都文京区
 築35年 / 67.78m²
 工事費1300万円

 Kさんからは、最初に「防音室が欲しい」というリクエストがありました。ギターを弾くことが趣味なので、隣近所に気兼ねなくいつでも弾けるようになりたいとのこと。

 防音室といえば、ヤマハの“アビテックス”がよく知られています。シェアは100%近いのではないでしょうか。管楽器や声楽練習用の0.8畳から、グランドピアノが入るサイズまで様々なユニットがあります。仕組みもまさにユニットバスと同じで、現場に持ってきて組み立てるだけです。

 ただ、普通だとそのまま部屋の中に“個室”がどーんと置かれるだけで、ちょっと目障りなんですよね。なので、防音室をさらに部屋の壁で囲んで、全体の雰囲気になじませるようにしました。そうすることで遮音性もさらに上がります。扉も部屋に合わせたものを取り付けたので、部屋の中に“防音室”が置かれているのではなく、部屋の一つが防音室という感じです。

 こちらの物件は東西を向いた角部屋で、両脇に採光がある明るいお部屋です。ただ、細長いのでどうやっても廊下ができてしまいます。それを逆手に取って、玄関から入って左手がベッドルームのあるプライベートエリア、右手がリビングやキッチンのあるパブリックエリアという風に分けました。

 とはいえ、そのままだと廊下がただの狭くて細長い空間になってしまうので、玄関の斜め正面にある洗面所をオープンにしました。そうすることで“たまり場”ができ、鏡の反射によって視覚的にも広さを感じられます。

 寝室の入り口には扉がありますが、ふだんは開けたままにしておきます。隣り合っている寝室とバスルームを窓でつなげたので、寝室の窓からバスルームを通って、リビングまで風も光も通ります。

 リビングは、入り口付近にあるウオークイン・クローゼットの壁とキッチンの位置にパースをつけたので、広がっているように感じます。天井はすべて黒くして、大人っぽく落ち着いた雰囲気を出しました。

 細長い物件で空間が二つに分かれてしまう良さを生かしつつ、狭くて細くなりがちな廊下を広く見せることに成功した良い例ですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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