リノベーション・スタイル

<76>高級家具が主役のシンプルな空間

  • 文 石井健
  • 2014年7月23日

 [alumina]
 Nさん(29歳)
 埼玉県
 築21年 / 66.6m²
 工事費 約1千万円

 Nさんはもともと都内に住んでいましたが、仕事の転勤で埼玉県の郊外へ引っ越すことに。いろいろな物件を見たようですが、住みたい家がなく、中古マンションを買ってリノベーションすることになりました。

 彼の場合は、物件を決めるよりも先に、置きたい家具が決まっていました。最近再び日本に輸入されるようになったフランスの高級ブランド“CATHERINE MEMMI(カトリーヌ・メミ)”の家具です。ソファ、ローテーブル、ベッドなどはすべてここで揃えることになっていました。日本のサイズより少し大きいので、うまく配置するにはどれくらいの広さの部屋が必要か……。そんなことを考え、70m²ほどの物件にたどり着いたんです。

 カトリーヌ・メミの家具を置く空間には、「生活感を出したくない」ということだったので、部屋の片側にキッチンやトイレなどのユーティリティーを集め、リビングはワンルーム的に使うことに。壁一面に塗装ガラスを配し、生活感のあるものは、すべてその向こう側に入れ込みました。壁の2カ所に扉があり、一つはキッチンへ、もう一つはトイレや風呂へつながっています。

 そして、この壁にプロジェクターの映像を投影すると、画面がすごくきれいに見えます。まるでテレビが壁に埋め込まれているような感じがするんですよ。

 照明はガラスの壁の下からの間接照明と、天井のダクトです。玄関にはカーテンがあり、閉めるとどこが出入り口かわからなくなります。外の世界とは隔離されたような空間が広がっています。イメージ的には映画『アメリカン・サイコ』のような感じでしょうか(笑)。

 独特な空間ですが、また転勤があることはわかっていたため、将来賃貸に出しやすいように、荷物をたくさん置ける倉庫も壁の向こう側に作りました。Nさんはそこに大量の本などを収納していました。

 無駄を排したシンプルな空間だからこそ、存在感のある家具が引き立ち、上質な空間が広がっています。

リノベーションの写真 つづきはこちら

[PR]

PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

&wの最新情報をチェック


&wの最新情報をチェック

Shopping