リノベーション・スタイル

<81>音楽が中心にある“円形劇場”に

  • 文 石井健
  • 2014年9月3日

 [AMPHITA]
 Sさん(34歳)
 東京都大田区
 築45年 / 43.93m²
 工事費 730万円

 Sさんの部屋は、「音楽が生活の中心」という暮らしをそのまま実現したものです。

 部屋の中心にあるリビングは、音楽と映像を楽しむための空間。正面に大型スクリーンとステレオを設置し、音が吸収されないよう、床はモルタルに。リビングの両脇に風呂とキッチンがありますが、両方の壁をハの字にして、音が反響するように工夫しました。スクリーンの下に木のベンチがありますが、その中に配線関係をすべて集めています。

 スクリーンと対面する位置に鎮座する特等席は、コルビジェのソファ。「LC2」のツーシーターです。その背面にはワークスペースがあり、棚にはウイスキーやオーディオ機材がずらり。Sさんはウイスキーを飲みながら音楽を聞くのが大好きだそうです。

 天井を黒くペイントしたのは梁(はり)を隠したり、プロジェクターの反射を避けるため。照明を落とすと天井が消えるので、広く感じられる効果もあります。

 部屋の壁と壁は、じつはどれも互いに交わっていません。壁というより、パーテーションという感じなんです。壁や天井との間に隙間があり、そこに照明が仕込まれていて、間接照明として空間を照らしています。バーのような雰囲気ですね。

 リビングの壁にある赤い枠の窓はバスルームとつながっています。カーテンだけで仕切ってあり、開けるとシャワーを浴びながらスクリーンを見ることもできるんですよ。

 配管の関係で、キッチンやベッドのあるフローリングスペースはリビングより一段上がっています。まさに“円形劇場”です。

 音楽を聴くために作られたリビングのまわりに、ベッドやキッチン、風呂がぐるりと配置され、文字通り「生活の中心に音楽がある」部屋。一人暮らしだからこそ楽しめる住まいですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)


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