リノベーション・スタイル

<83>デザイナーによる「注文の多い部屋」

  • 文 石井健
  • 2014年9月17日

 [S邸]
 Sさん一家(夫36歳・妻33歳・長男3歳)
 東京都世田谷区
 築44年 / 75.85m²
 工事費 1300万円

 Sさんには「ここを変えたい」という要望がたくさんありました。まずひとつは、「仕事場が欲しい」ということ。ご主人がデザイナーだったので仕事をする場所が必要だったのです。また、「広いスペース」と「畳部屋」、さらには「和」「赤」「有孔ボード」など次々とキーワードが出てきました。

 物件探しからお手伝いしましたが、見つけたのは緑道沿いの気持ちのいいマンション。緑の見える道路側の大きい窓と玄関側の窓から自然光が入ってきます。

 そこでまず、玄関側の窓の大きさに合わせて、入り口からリビングへ伸びる廊下を造ることにしました。そうするとことで、二つの窓がつながり、明るい光と風が部屋全体にまわります。

 廊下には、壁収納のほか、扉で出入りする部屋、引き戸で出入りする部屋などがあります。部屋の中心にある“中央通り”に、いろいろな部屋がテナントのように並んでいる、というイメージです。結果的にふつうの廊下より広くなったので、どこか旅館のような雰囲気がするかもしれません。

 引き戸の部屋は和室です。4畳半ほどですが、ここが寝室になっています。廊下をはさんだ向かいに布団の収納スペースがあります。

 収納をたくさんつくったので、リビングは広々としています。赤い扉を空けると、ウオークインクローゼットにつながっています。

 ご主人の仕事部屋は玄関の近くに設けました。ガラス窓のある扉がありますが、モルタルの床は玄関からそのままつながっています。

 この土間スペースの一角で靴を脱ぐと、一段あがったフローリングの空間があり、“中央通り”の廊下を通って生活の場につながります。床の高さと素材で、仕事場と生活の空間を切り替えました。有孔ボードは土間スペースに置きました。

 こうして、物件の良さを生かしつつ、すべての要望を満たした部屋になりました。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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