リノベーション・スタイル

<87>ガラス戸でつながるDINKSの家

  • 文 石井健
  • 2014年10月15日

 [S邸]
 Sさん夫妻(夫 28歳・妻28歳)
 東京都武蔵野市
 工事費 900万円

 外で忙しいだけに、家ではゆったり過ごしたいもの。でも、家に帰ってから夫婦や家族がしたいことはいつも一緒とは限りません。

 Sさんご夫妻はバリバリ働いていらっしゃるワーキング夫婦。2人とも年に半分から3分の1は海外出張などに行かれています。

 家にいられる夜は、奥さまは趣味の手芸、ご主人はテレビでサッカー観戦をすることが多いといいます。そこで、リノベーションのテーマは、いかにそれぞれのプライバシーを確保しながら、つながりを絶やさないかということでした。

 まず考えたのはガラスの引き戸です。リビングとダイニングの間に設置し、「見えない仕切り」をつくることにしました。引き戸は、東京R不動産が運営する「tool box」というサイトで売っているものを選びました。このサイトでは、リノベーションをするための建具やパーツなどいろいろなものが購入できます。Sさんご夫妻は、Camp Designという建築設計事務所がデザインしたガラスの引き戸を使いたいとのことだったので、それを5枚使用しました。

 5枚すべてを引けば、リビングとダイニングが完全に仕切られます。シーンによっては、片側だけ閉じたり、中間だけ閉じたりと、調節することもできます。ガラス戸を1枚隔てるだけで、生活のモードがはっきり切り替わるんです。

 でも、向こう側が見えるので、相手を感じることもできる。ガラス戸を使うと、つながっているために仕切ることが可能なんですね。いわば、夫婦それぞれの生活を重ね合わせた部屋です。

 レイヤーを重ね合わせるような設計イメージだったので、ダイニングの壁は芥子(からし)色にペイントしました。白いままだとのっぺりした印象になってしますが、色を使うことによって奥行きが出ます。

 リビングのフローリングとキッチンのパーケットが印象的ですが、全体の間取りはあくまでオーソドックス。将来的には賃貸に出すことを視野にいれているので、収納もあちこちに作りました。打ち合わせでは、たとえアイデアが飛躍しそうになっても、最終的には「汎用(はんよう)性があるかどうか」という基準に戻り、今の形に落ち着きました。

 将来を見据えつつ、今の生活に必要なことをうまく取り入れたリノベーションですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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