リノベーション・スタイル

<88>「テイラー」のようなドレッサールームを

  • 文 石井健
  • 2014年10月22日

 [M邸]
 Mさん(46歳)
 さいたま市南区
 築18年 / 58m²
 工事費 1100万円

 Mさんはすごくおしゃれで、仕立てのいいスーツやいい靴をたくさんお持ちです。着こなしも上手で、オフの日用のスーツもあるほど。「お気に入りの洋服をちゃんとしまいたい」という思いが伝わってきたので、クローゼットをどうするか、というところから考え始めました。

 テーマは「テイラー」です。どうせなら、ちゃんとしまうだけじゃなくて、「選ぶ楽しみ」も演出したい。でも制限のある空間の中で巨大なクローゼットは造れない。そんななかで考えたのが、廊下を含めた空間全体を「ドレッサールーム」にするという案でした。 玄関からリビングへつながる廊下の両脇をクローゼットにして、そこにレッドカーペットを敷き詰めました。間接照明もあり、カーペットの敷いてある空間が一つの部屋のように感じられます。やっぱり赤って気分があがりますね。使う人は多くはないのですが、じつはオススメなんですよ。

 このドレッサールームを部屋の中心に据えると、フローリングやキッチンの黒い木目、レンガタイルなどがどんどん決まっていきました。

 フローリングは、最近流行しつつある「寄せ木細工の床タイル」。かわいいですよね。まだ値段が高いのですが、これから普及すれば安くなっていくかもしれません。

 ベッドルームには、ベッドとデスクが置いてあります。この部屋単体でホテルスイート、というイメージです。ベッドルームの折れ戸と洗面所の扉を閉めると、プライベートエリアが一つの部屋のようになるんです。

 また、ベッドの上にいても、外へ視線が抜けるように設計しています。水回りやリビングとの回遊性もあり、すべての生活動線がスムーズです。人を元気づけるのも、住まいの役割の一つかもしれませんね。

 リビングのフローリングとキッチンのパーケットが印象的ですが、全体の間取りはあくまでオーソドックス。将来的には賃貸に出すことを視野にいれているので、収納もあちこちに作りました。打ち合わせでは、たとえアイデアが飛躍しそうになっても、最終的には「汎用(はんよう)性があるかどうか」という基準に戻り、今の形に落ち着きました。

 将来を見据えつつ、今の生活に必要なことをうまく取り入れたリノベーションですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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