リノベーション・スタイル

<92>着付け教室に、そしてカフェのようにも

  • 文 石井健
  • 2014年11月19日

 [さらりざらり]
 Kさん(46歳)
 東京都文京区 築19年 / 66.58m²

 Kさんは着付けの先生でありながら、趣味は茶道に浮世絵、カヌーにジムとアクティブな女性です。自宅で着付け教室もやるので、どうしても和のテイストが入ってきますが、本来は洗練されたコンテンポラリーな雰囲気が好きとのことでした。

 理想の空間をイメージする単語を書き出してもらうと、「ニュートラル」「ジョン・ポーソン」「パリの無印良品」「モランディ」「アルフレックスのソファ」「リバーシブル」「骨董」「くつろぎ」などなど……。

 いろいろ話し合った結果、「さらり」と「ざらり」の中間で、ざの点が一つ欠けたもの、というコンセプトが浮かび上がりました。「ざらり」は絹や木綿、陶器といった和の素材感を、「さらり」はコンテンポラリーな感覚を表しており、両方の中間くらい、というイメージです。

 そんな空間づくりを念頭に置きながらまず考えたのが、着付け教室とプライベート空間の関係性。Kさんから要望があったのは、「教室の最中に生徒さんがお茶を入れることがあるので、キッチンを近くにしてカフェ的に使いたい」ということでした。

 そこで、キッチンと隣り合わせの教室を通り、リビングへ入るという間取りを提案しました。部屋の一番奥に教室があると、空間としてはクローズドで落ちつきますが、リビングがさらされている感じになってしまいます。また、キッチンとも離れてしまいます。そこで、教室をフローリングにして、部屋の真ん中に置くことにしたのです。

 教室とリビングは空間としては分かれていますが、広く感じられるよう、壁などで仕切ってはいません。その代わり、「こっちから向こうへ行く」という感覚を出せるよう、二つの部屋の間にギャラリー的な白砂利の床の間をつくったり、壁付きの棚で視界を誘導したりするようにしました。

 また、自宅兼教室なので、洗面所はホテルなどの商業施設のような雰囲気にしています。部屋のあちこちにモノを飾れる空間も設け、ギャラリー的な空間も演出しました。

 寝室は廊下の扉の向こうにあります。グレーの壁とパープルの入ったカーテンの組み合わせがヨーロッパっぽいですね。家具やカーテン類のファブリックはコーディネーターや僕らと一緒にセレクト。家具は基本的にすべてカッシーナです。全体的に色味は抑えつつもモノトーンではなく、素材感は強くないけれど存在感はあるという、微妙なバランスで成り立っています。これくらいそろえると全体の統一感が出ますね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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