リノベーション・スタイル

<93>東京郊外、実家近くの中古マンションを

  • 文 石井健
  • 2014年11月26日

 [round square]
 Sさん夫妻(夫32歳、妻32歳)
 千葉県市川市 築20年 / 55.11m² / 工事費 1千万円

 Sさんご夫妻が購入された中古マンションは千葉県市川市。江戸川を越えればすぐ東京です。おふたりは都内にお勤めで、以前は東京に住んでいました。新しい物件を探していたところ、たまたまご実家の隣のマンションに空きが出たため、リノベーションして住むことになったそうです。

 実はこれ、最近のトレンドです。以前は都心で理想の暮らしをするために中古マンションを購入する、というのがリノベの主流でした。もちろん今でもそうなのですが、最近増えてきたのは「あえて郊外に行く」という選択です。

 とはいえ、郊外ならどこでもというわけではなく、郊外にある“実家の近く”に住む人が多いようです。これを僕は「都心内Uターン」と呼んでいます。

 景気の回復は望めず、人口減少が進んでいる一方で、女性の働く環境はもしかしたらよくなるかもしれないという期待感があります。共働き夫婦は、いざというとき実家の親に子どもの面倒をみてもらいたいし、親の介護もあります。そんなときに出てくるのが“実家の近くに住む”という選択肢なのです。

 郊外へ行けば、物件は安くなります。新築もありますが、資産の目減りは必至です。それに比べて、今後大幅に価格が落ちることのない中古マンションは資産性が高いといえます。さらに、なるべく築浅、耐震補強済み、共有部も充実していて、住環境がよく、都心へのアクセスもいい……。そんな郊外物件がいま注目されているのです。

 前置きが長くなりましたが、これはまさにそんな条件を満たしたマンションです。間取りは壁式で田の字型という、典型的なものでした。Sさんご夫妻は「できるだけLDKを広くしたい」「ピアノを置きたい」とのことだったので、まずは壊せる壁をとり、広いLDKを造りました。キッチンはスペースを節約するため壁付けにしています。

 キッチンの隣は一段下げてカーペットを敷いてワークスペースに。将来は子ども部屋にすることができます。ピアノはLDKの片隅に置きましたが、天井だけ木製の板を隙間をあけて平行に組んだルーバーにして、舞台感を演出しました。

 寝室とリビング、2カ所に出窓がありましたが、「バブルっぽくて嫌だね」ということで、壁を造って小さな部屋のようにしています。寝室の方はかまぼこ形にしてビロードを敷き、ジュエリーボックスのような感じに。リビングの方はスクエア型にし、オーディオ機器を置く場所にしました。

 すべての面でバランスのとれた、今という時代を感じる事例ですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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