リノベーション・スタイル

<95>「マイナス×マイナス=プラス」の家に

  • 文 石井健
  • 2014年12月10日

 [M邸]
 Mさん一家(夫34歳、妻32歳、長女1歳)
 東京都練馬区 築40年/90.48m²

 ひと癖ある物件や、マイナス条件のある物件こそ結果的におもしろい家になることが多くあります。この事例もその一つです。

 Mさんご夫妻が購入されたのは、都内にある90平米で2千万円ほどの中古マンション。この広さの割には比較的安かったのですが、それには理由がありました。リビングが三角形のような形で、床に逆梁があり、さらにフローリングは禁止だったのです。

 でも、リビングには大きな窓があり、眺めは抜群。そこで、まずこのパノラマを楽しむために、キッチンを窓のあるリビング側にもってくることにしました。また、日当りのいいリビングをカーペットにすれば、床の逆梁はベンチのように使えます。購入前に、すでにここまでの大まかなプランは決っていました。

 それと平行して部屋の世界観も詰めていきました。ご主人は企業にお勤めのクリエーターなのですが、学生時代はオランダの建築家・リートフェルトの研究をしており、オランダの空気感がお好きだとのこと。インテリアの雰囲気は、オランダの“デ・ステイル”やドイツの“バウハウス”を飛び越えて、その周縁あたりを目指すことにしました。

 テーマカラーは青と黄色、白です。床に敷き詰めたカーペットは青にし、テーブルの脚や時計、ちょっとした小物などに黄色を使っています。キッチンの床も黄色ですが、これはスウェーデン製の「ボロン」というビニール織物床シートです。

 部屋の中心にあるキッチンは全長6メートルほどあり、とてもゆったりしています。お風呂やトイレなどの水回りはすべてキッチンの裏にまとめました。

 LDK以外には寝室とゲスト用の部屋、ウォークインクローゼットがあります。

 ちなみに、この部屋は、あるポイントから見ると縦横のラインがピシッと揃っています。おそらく誰も気付いてないと思うんですが、僕が密かに埋め込んだんです(笑)。最近、YouTubeで「OK Go」のミュージックビデオが話題になっていましたが、まさにあの世界。「The Writing's On the Wall」をみたとき、「同じことを考えてる!」と思いました。

 建築も“マイナス×マイナス=プラス”になります。物件の特徴を生かした楽しい部屋に仕上がりました。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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