リノベーション・スタイル

<108>天然石のタイルで、廊下が小径に

  • 文 石井健
  • 2015年7月1日

 [H邸]
 Hさん夫妻(夫34歳・妻40歳)
 東京都中野区 築43年/55.20m²/総工費 900万円

    ◇

 Hさん夫妻は出版社にお勤めの二人。中央線沿線で物件を探していましたが、広さは「無理しない範囲でほどほどに」とのこと。希望していた中野区で58平米のマンションが見つかり、そこをリノベーションすることになりました。

 提案したのは、玄関から廊下を通り、リビングに入るという比較的オーソドックスな間取り。ただ、そのままだと廊下はただの“通路”になってしまうので、付加価値を付けるため、“通路+α”の提案をしました。それが床のタイルです。厚さがバラバラの天然石のタイルを敷き詰め、石畳のようにしました。玄関からキッチンまでが石畳なので、廊下はまるで小径のよう。夏は裸足がとても気持ちいいと気に入ってくれました。廊下の壁の上部には棚を作り、本を収納できるようになっています。

 玄関は将来子供部屋が造れるよう、4畳分の広さをとりました。本棚やソファがおけるほどゆったりしているので、セカンドリビングとしても使えます。

 唯一奥さまからあった要望が、「キッチンはクローズドにしたい」ということでした。「きれいに保てる自信がないから」と。実際はすごくきれいなんですけど(笑)。クローズドにするだけだと暗くなってしまうので、ガラスブロックで光を取りこみ、玄関側には高い腰壁を設けて、廊下とつながっているようにしました。

 リビングは、10畳ほどのフローリングです。テレビがないのでとても広く感じます。ご主人の小さな書斎も造りました。扉付きにして、来客時にはぱっと閉じられるようにしてあります。

 結果的には、58平米の部屋でも70平米くらいに感じ、オーソドックスな間取りでありながら個性的な部屋になりました。求めすぎなかったがゆえに、上手くいったのかもしれません。

 物件選びにしても、リノベーションのプランにしても、目標設定が高すぎず、柔軟な姿勢でいると、結果的にうまくいくこともあるという例でした。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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