世界美食紀行

お金を呼び込む風水パワー マカオ(1)

  • 文 江藤詩文
  • 2015年8月10日

写真:天井からはお金や魚がぶら下がり、あちこちに巨大なお金のデコレーションがあしらわれ、中央には巨大な水槽と、金運をアップするためのアイテムがすべて揃ったホテル「MGMマカオ」のロビー
天井からはお金や魚がぶら下がり、あちこちに巨大なお金のデコレーションがあしらわれ、中央には巨大な水槽と、金運をアップするためのアイテムがすべて揃ったホテル「MGMマカオ」のロビー

写真:新しいレストランも次々と誕生。昨年末マカオタワー内にオープンした「トロンバ・リージャ」は、ポルトガルから初上陸した老舗のポルトガル料理店。名物のバカリャウ(干しダラ)の料理などが食べ放題で楽しめます 新しいレストランも次々と誕生。昨年末マカオタワー内にオープンした「トロンバ・リージャ」は、ポルトガルから初上陸した老舗のポルトガル料理店。名物のバカリャウ(干しダラ)の料理などが食べ放題で楽しめます

写真:ミシュランの評価はマカオでも注目されているそう。「ミシュランガイド香港マカオ」版で一ツ星を獲得した「リスボア・ホテル」の「ティムズ・キッチン」は、クリエイティブな広東料理がマカオの人たちからも人気 ミシュランの評価はマカオでも注目されているそう。「ミシュランガイド香港マカオ」版で一ツ星を獲得した「リスボア・ホテル」の「ティムズ・キッチン」は、クリエイティブな広東料理がマカオの人たちからも人気

写真:レストランはポルトガル料理、中国料理、マカオ料理のほかフレンチ、イタリアン、和食、エスニックと、ほぼ世界中の料理を食べられます。チョコレートケーキを手紙に見立てたこんなかわいいスイーツも レストランはポルトガル料理、中国料理、マカオ料理のほかフレンチ、イタリアン、和食、エスニックと、ほぼ世界中の料理を食べられます。チョコレートケーキを手紙に見立てたこんなかわいいスイーツも

写真:比較的治安のいいマカオでは、夜の街を散策したり夜お茶をしたり、夜遊びが楽しい。いまやラスベガスの7倍もの収益を生み出すという人々の欲望うごめくカジノも、もちろん一見の価値ありです 比較的治安のいいマカオでは、夜の街を散策したり夜お茶をしたり、夜遊びが楽しい。いまやラスベガスの7倍もの収益を生み出すという人々の欲望うごめくカジノも、もちろん一見の価値ありです

写真:オークラ特製のフレンチトーストとオークララベルのちょっと甘めのシャンパーニュが食べ放題・飲み放題のラウンジ朝ごはん。フレンチトーストは注文が入るごとに焼き上げてくれます オークラ特製のフレンチトーストとオークララベルのちょっと甘めのシャンパーニュが食べ放題・飲み放題のラウンジ朝ごはん。フレンチトーストは注文が入るごとに焼き上げてくれます

写真:香港では入国せず、高速船へは香港国際空港に直結したポートから乗り込みます。空港で預けたスーツケースはマカオまで直接運ばれますが、スーツケースが破損しても対応してくれないので、個人で保険に入っておくことをおすすめします 香港では入国せず、高速船へは香港国際空港に直結したポートから乗り込みます。空港で預けたスーツケースはマカオまで直接運ばれますが、スーツケースが破損しても対応してくれないので、個人で保険に入っておくことをおすすめします

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 マカオを訪れるのは3年ぶりです。マカオの水先案内人で、マカオ在住暦約30年のヨウコさんにそう伝えると、彼女はにやりと笑ってこう言いました。「そんなに経っていたら、きっと大きく変貌していますよ。マカオは毎月来てもらっても何かしら変わっている、エキサイティングな場所ですから!」

 マカオは、中国大陸から続くマカオ半島と、タイパ、コロアンからなる30平方キロメートル足らずの小さなエリアです。かつては島だったタイパとコロアンのあいだは埋め立てられて陸続きとなり、「コタイ地区」として開発されています

 マカオがポルトガルから中国に返還され、「一国二制度」の原則のもと特別行政区となったのは1999年12月のことです。あれから15年。ポルトガルの面影と中国の文化を融合しながら、中国とも香港とも異なる“マカオらしさ”をつくりあげてきたといいます。

 とりわけマカオの勢いを感じられるのがコタイ地区です。ホテルやショッピングモール、カジノなどを備えた複合リゾート施設が次々にオープン。世界の名だたるラグジュアリーなホテルブランドがどんどん進出していて、訪れたときにも、まだまだ大型施設を建設していました。

水族館人気の意外な理由

 私が訪れたのは、中国の旧正月の直前にあたる時期でした。そのために、いつでも華やかなホテルのロビーやショッピングモールのデコレーションが、さらにあでやかさを増しています。原色の赤や黄色にゴールドやシルバーがあしらわれた配色に、描かれるのはまばゆい宝石や生き生きと勇ましい昇り龍。天井からは大きなお金がぶらり……。東南アジアとはまた異なる中国らしい美意識にあんぐりと口を開けていると、今度はゴージャスな噴水ショーがはじまりました。

 お客様を出迎えるホテルのベルガールは、大胆なスリットが入ったチャイナドレスをまとったグラマラスな美女。マンダリンオレンジをひとつ手渡してくれました。セクシーな色気たっぷりの彼女は、27歳のマカエンセ(マカオ生まれのポルトガル系子孫のこと)。ホテルの顔として働くには、若くて顔とスタイルがよく、背が高くて英語を話せることが条件だそうです。日本のホテルにも美しい方はたくさんいますが、自分でこう言い切れる人はそうはいないような……。もう圧倒されっぱなしです。

 そんな彼女が身を包むドレスは、真っ赤なサテン地に金糸でたっぷりと刺繍を施した贅沢なもの。マカオの風水の考え方では、赤は“情熱”で金色は“お金”。つまり“情熱的にお金を稼ぐ”ための運勢が開けるとか。彼女がくれたオレンジも、柑橘類をお金に見立てたものだそうです。他にも、水をたくさん使った水族館や噴水はお金を呼び込むとか、広東語で“魚”は“お金”と発音が似ているのでお金が入ってくるように魚を飾るとか、新年を迎えるにあたっての人々の願いは「もっとお金を稼ぎたい」と単純明快でした。

羽田空港で味わう“オークラ”の味

 「日本人は、どうしてお金がほしいと言わないの? 自分がほしいものは、ちゃんと口に出して自分の力で取りに行かなくちゃ」。風水は、それを後押ししてくれるパワーなのだそうです。年若い彼女のストレートな欲望がいい気の流れを発しているのか、ここにいると私までパワーにあやかれる気がしてきました。

 「日本に帰っても、水族館に行ってくださいね」。日本でも大型水族館が中華系の旅行者に人気の理由は、観光施設として見応えがあるというのはもちろんですが、風水的な意味もあるそうです。

 運勢が落ちてきたら、マカオにチャージに来ればひと安心。それほどこの土地は明るい気に充ちていました。

 そんなマカオへは直行便で行くこともできますが、これからは羽田発香港経由も見逃せません。なぜって羽田空港にあるキャセイパシフィック航空のラウンジは、ホテルオークラ東京が運営していて、あの名物「フレンチトースト」を食べられるのです。2019年春の新装オープンに向けて、この8月末で本館の歴史に幕を閉じるオークラに、最後に駆け込む予定の方も多いのではないでしょうか。オークラ特製のフレンチトーストとシャンパーニュで朝ごはんをとってマカオへ。このアクセスは、なかなか楽しい“美食旅”ではないでしょうか。

■トラベルデータ

日本からマカオへは直行便を利用するか、香港国際空港から高速船に乗り継ぐのが一般的な行き方。高速船の所用時間は約50分。公用語は中国語とポルトガル語。広東語がもっとも普及している。高級ホテルやカジノでは英語が通じるが、街中では通じにくい。時差はマイナス1時間。通貨はパタカ。香港ドルが等価通貨として利用できるので、香港を経由するなら香港ドルに両替しておくと便利。1パタカ=1香港ドル=約15.8円。
*データは2015年2月取材時のもの

■取材協力:

マカオ観光局

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PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)

トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道〜乗っ旅、食べ旅〜」シリーズ3巻。「江藤詩文の世界鉄道旅」を産経ニュースほかで連載中。

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