リノベーション・スタイル

<111>いろいろなものが、ほどよく“半端”

  • 文 石井健
  • 2015年8月12日

[F邸]
 Fさん一家(夫43歳・妻40歳・長女0歳)
 東京都狛江市 築39年/64.62m²/総工費 1070万円

    ◇

 Fさん夫妻からのリクエストは「広々としながらも、居場所感のある空間」に住みたいということでした。奥様が世田谷にある「夏椿」という古い一軒家のお店が好きとのことで、そのお店の和の空間やゆったりと時間が流れる雰囲気をイメージしながら、リノベーションをしました。

 空間のポイントは、“曖昧の妙”。玄関に入るとガラスブロックの壁で仕切ったワークスペースがあり、その奥にベッドルームとLDKがあるのですが、その二つを区切る壁は天井までつながっていません。個室であるようで個室じゃない。

 その壁のLDK 側には箱畳がついていて、ダイニングテーブルの椅子にもなっています。畳なのですが、小上がりほど大きくはなく、椅子ほど小さくはなく……。90センチはあるので、昼寝くらいはできるという絶妙な大きさです(笑)。いろいろなものが、ほどよく“半端”なんです。

 LDKの窓には、白木を組んでサッシをはめました。アルミの世界観が侵入してこないので、どこか戸建て縁側のような暖かい雰囲気ですよね。ここを開けると狭いサンルームのようになっていて、洗濯物を干したりすることができます。

 キッチンは機能面重視で業務用のシンプルなものに。ただ、寸法は家庭用に作り直しています。キッチン前のダイニングの床はパーケットに。木枠の窓とあいまって、学校のような感じもします。

 ちなみに洗面所を挟んだ二つの木の扉は、Fさんたちが探してきたもの。日本家屋のような雰囲気が生まれました。

 マンションでありながら戸建てのようで、ワンルームでありながら、シーンによって“居場所感”がある。絶妙な“曖昧の妙”がこの部屋の魅力です。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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