リノベーション・スタイル

<112>ワンルームを広く使うための「余白」

  • 文 石井健
  • 2015年8月26日

 [S邸]
 Sさん一家(夫30歳代・妻30歳代)
 東京都江東区 築30年/83.03m²/総工費 1,070万円

    ◇

 Sさん夫婦の要望は「広々とした場所で開放的に暮らしたい!」ということでした。見つけたのが、都心へのアクセスもいい下町の83平米のマンション。この部屋をほぼワンルームにリノベーションすることになりました。

 ワンルームを広く使うときにポイントになるのは二つです。一つは視線の通り方。もう一つは、家具を置いたときの余白。ワンルームは壁がない代わりに、グリーンや家具の配置によって自由にゾーニングを変えられます。そのときにある程度余白ができないと窮屈に感じてしまうんです。

 そこで、まずはできるだけスペースをとれるよう、キッチンや収納はすべて壁側に配置しました。水まわりもそれぞれのアクセスを考えながら、一カ所に集約しています。そうすることで、寝室からLDKまですべてつながった広い空間に。一番長いところで15メートルほどもあります。キャッチボールができますね(笑)。

 広い空間を大胆に作った一方で、個々の素材感は大事にしています。素材のテーマは「味わい」と「質実剛健」。壁や天井は白を基調としながら、躯体のコンクリートの素材はそのまま生かし、フローリングは幅広の木材を採用しました。狭い空間で幅広を使うと窮屈な感じがしますが、広い場所ではワイルドな雰囲気が出せます。

 キッチンは、ステンレス張りの業務用を使いやすいように特注しました。キッチンの壁や洗面所は「サブウェイタイル」です。ニューヨークの地下鉄のタイルをモデルにしていて、最近人気があります。

 玄関やインナーテラスには海外の浴室で使われているようなヘキサゴンタイルを。クローゼットもルーバータイプで、シンプルでありながらどこかレトロで懐かしい味わいを感じます。

 ワークスペースだけ天井をナラ材にしているんですが、これはこもり感を出すため。リビングとつながりつつも、天井を変えることで、その空間が他と切り分けられます。

 これだけ広いと、置くものや配置でどんどん雰囲気が変わります。住みながら、そのときどきの気分で大きく模様替えできるのは、ワンルームのメリットの一つですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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