リノベーション・スタイル

<114>三角形の間取りだから、できたこと

  • 文 石井健
  • 2015年9月24日

 [U邸]
 Uさん一家(夫40歳・妻39歳)
 東京都品川区 築41年/85.00m²/総工費 非公開

    ◇

 都市部で物件を探すと、どうしてもある程度値段はかかってしまいます。でも、諸条件によっては少し安く買えることもあります。その一例が、こちらの物件。

 都内の中古マンションですが、三角形の間取りでした。昔よくあった、雁行型マンションですね。窓はたくさんとれるのですが、やはり一般的に変わった間取りは敬遠されます。

 しかし、Uさん夫婦は、逆にこの変わった間取りに可能性を感じました。せっかく中古マンションを買ってリノベーションするなら、自分たちらしいオンリーワンの空間にしたい。そう考えていたお二人にとっては、この物件は「何かできるのではないか」と思わせるものでした。

 とはいえ、特殊な間取りであればあるほど、リノベーションのプランがしっかり決まっていないと購入できません。今回は買う前に、すでにほぼ完成形のプランが出来上がっていました。

 もともとは、部屋の壁にそって四角い部屋がありましたが、私たちが提案したのは、それを45度傾けたようなもの。窓と壁が平行でない場所ができますが、実はそうすることによってスペースが有効に使えます。つまり、これまで個室の中にあったデッドスペースを外に出したのです。デッドスペースをリビングや廊下などに集約することで、個室はより広くなり、さらに広めの廊下や広場のような空間もできます。

 ご夫婦はクリエイティブなお仕事をされていることもあり、部屋は「アトリエみたいな感じに」というところからスタートし、なんとなく学校を彷彿させる雰囲気に。部屋の中心にあるのはリビングの本棚の裏にあるワークスペースです。壁全面が有孔ボードになっていて、放送室みたいですよね。

 その奥にある小屋は寝室です。色を塗るかどうか迷ったのですが、出来上がったときに木の質感がよかったのと、“未完成”な部分を残したいとのことで、木地のまま残しました。

 小屋の前にはちょっとしたデッドスペースがあり、そこはインナーテラスにしています。この空間の“こもり感”がなかなか心地よく、本を読んでいるとついついお昼寝をしてしまうらしいです。ほどよいデッドスペースが広さと心地よさに変わっていくんですね。

 全体的に、部屋の壁が斜めにあることで奥行きが出て、より広さを感じるような空間になっています。実際に行くととても心地よいですよ。一般的に敬遠される間取りでも、要はやり方次第。“欠点”はいくらでも“利点”になるのです。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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