リノベーション・スタイル

<117>都心の細長い間取りを、上手にいかす

  • 文 石井健
  • 2015年11月4日

 [K邸]
 Kさん夫婦(夫31歳・妻31歳)
 東京都文京区 築38年/70.05m²/総工費 非公開

    ◇

 日本のマンションの間取りには、縦長のものがよくありますが、こちらもそんな物件でした。都心の好立地にあり、将来的に資産も下がりにくく、管理も行き届いている典型的な優良物件。ただ、細長い間取りで、窓は一カ所だけ。個室が3つありましたが、真ん中から奥は光が届かず真っ暗でした。間取りだけが悩みどころだったため、購入前の時点で、かなりシビアにプランを練りました。

 最終的には、配管などの関係で水まわりはあまり動かしたくなかったため、光が必要な部屋の順番に、窓から配置していくことに。窓側にLDKとワークスペース、半分から奥に寝室とお風呂や洗面所などを置きました。

 全体的な雰囲気は、お二人が結婚式のときに泊まった「HOTEL CLASKA」のある一室を参考にしています。モダンでシャープな雰囲気が好きだったとのことで、そんな雰囲気になるよう、素材やディテールに凝りました。

 たとえば、キッチンの隣にあるワークスペースの壁。和の雰囲気を出せる大谷石を使っています。最近は外壁だけでなく、内装にもよく使われますが、横に貼ると民家の塀みたいになってしまいます。ここはあえて縦にランダムに貼ることによって、モダンな雰囲気を出しました。

 キッチンの白いタイルはオーソドックスな100角タイルですが、これは“馬貼り”という、正方形を半分ずつずらして貼る方法をとっています。オーセンティックな素材を使いながら、仕上げのディテールを少しひねり、グレード感を出しました。

 リビングの青い畳の小上がりは、大きさやテーブルとの関係を何度も調整しています。最終的には、寝っ転がれる大きさであると同時に、テーブルの椅子にもなるようにしました。

 フローリングはウォールナットを着色して、色を少し落としています。壁は大人っぽいグレーに。ホテルライクな雰囲気ですよね。

 都心のヴィンテージマンションを、自分たちらしくリノベーションして暮らす……。都会で働く人たちの理想の住まい方の一つかもしれませんね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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