リノベーション・スタイル

<119>娘たちが独立。夫婦で「旅館」に住まう

  • 文 石井健
  • 2015年12月2日

 [I邸]
 Iさん一家(夫62歳・妻62歳)
 小金井市 築25年/65.19m²/総工費 1,300万円

    ◇

 今回のリノベーションのテーマは、「子どもたちが独立したあとの夫婦の住まい」です。

 Iさんご夫婦のマンションは緑が多い地域にあり、日当りもいいお部屋。長年家族で住んできて、お二人ともとても気に入っていました。不満はまったくありませんでしたが、娘さん二人が独立されたことで、使わない部屋がそのまま物置のようになっていました。それではもったいない!ということで、ご夫婦がより快適に住めるよう、リノベーションをすることになりました。

 お二人から要望があったのは、無駄な部屋をなくし、全体を広々とした空間にすること。壁式構造なので壊せない場所もありますが、基本的なゾーニングを生かしながら、個々の場所を調整していきました。

 まず大きく変えたのは玄関ホール。以前は、玄関から入るとすぐ娘さんたちの部屋がありましたが、そこは思い切って広い玄関ホールに。格子戸をつけ、旅館の個室の玄関ホールのようにしました。縁側のような空間でもあり、お客さんとここでおしゃべりをすることもできます。娘さんたちが泊まりに来たときは、格子扉を全部閉め、布団を敷いて寝るようです。玄関ホールというより、旅館の一室のようになるんです。

 玄関ホールの左側の和室はご夫婦の寝室。一段上がっているので、ここも旅館のような感じです。印象的な壁紙は、サンダースというイギリスのメーカーのもの。「Vintage Wallpapers」というシリーズの「Scuirrel & Dove」という柄です。リスと鳩が描かれたかわいらしい壁紙で、どこか鳥獣戯画っぽい感じもしますよね。これは、もともとインテリアのショールームで働いていた奥様が、働きながら、「いつか自分の家であれを使いたい、これを使いたい」とアイディアをあたためていたもの。和室との組み合わせが絶妙で、和モダンというより、どこかジャポネスクという雰囲気があります。

玄関ホールとリビングの間には扉がありますが、これは昔から使っていたものです。「家族の思い出としてとっておきたい」ということで、今回のリノベーションではそのまま使いました。玄関からこの扉までは旅館のような雰囲気で、扉を開けると、モダンでシンプルな世界が広がっています。

 キッチンは夫婦で料理ができるよう少し広くしました。キッチンと玄関ホールの壁の窓は、もともとクロークの収納スペースだった場所。ここだけ壊すことができたので窓を作り、玄関からリビングの窓まで光と視線が通るようにしました。

 リビングのスタッキングシェルフは無印良品のもの。あらかじめ使うことがわかっていたので、それに合わせて設計しています。

 子どもたちが独立したあと、狭いマンションに住み替える、そのまま住み続けるなどいろいろな選択がありますが、人生のステージによって住まいを変えると、より暮らしが豊かになる事例です。

リノベーションの写真 つづきはこちら

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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