リノベーション・スタイル

<124>週末、ゆっくりお風呂につかって本を読むために

  • 文 石井健
  • 2016年3月16日

 [A邸]
 Aさん(女性)
 静岡県御殿場市 築27年/43.69m²/総工費 990万円

    ◇

 今週ご紹介するのは、週末の家をリノベーションした事例です。Aさんは都内で働く女性。もともとご両親が使っていた御殿場のマンションの一室を譲り受け、リノベーションして使いたいと相談に来られました。将来、リタイアしたらこちらに住まいを移す可能性もありますが、生活の拠点というよりは、まずはホテルに近い“週末の家”としてのリノベーションをご希望でした。

 さて、Aさんが週末の家でやりたいことは、「ゆっくりお風呂につかって、本を読んだり、映画をみたりする」こと。当初は、“白い壁とガラス”のモダンな空間を想像していたようですが、話をつめていくと、「大正ロマン的な和洋折衷の雰囲気の方が落ち着くかも」となり、最終的には、“旅館”をキーワードにまとめていくことに。

 出来上がったのは、まるで旅館が部屋の中にぎゅっと凝縮されたような空間です。玄関を開けると廊下があり、リビングが旅館の“ラウンジ”。窓側の小上がりが“お部屋”で、“離れ”にお風呂があるというイメージです。

 なんといっても目を引くのは、美しい青が印象的な五右衛門風呂でしょう。五右衛門風呂には、垂木、鋳鉄、羽釜、磁器、陶器などがあります。値段も千差万別で、10万円以内のものから100万以上するものまでいろいろ。今回使ったのは、信楽焼の五右衛門風呂です。部屋のキーカラーが青だったので、青い釉薬(うわぐすり)が美しいものを選びました。お風呂の床は“洗い出し”と呼ばれる小石を浮き立たせたもので、これは玄関にも使っています。入り口のアンティークの建具と洗面台やトイレの白い陶器、五右衛門風呂が和洋折衷の雰囲気を作り出しています。

 アンティークの和装建具はAさんと一緒にインターネットで探しました。お店が近かったので、購入前に実際に見に行って確認していました。値段はリペアの程度によって違いますが、新品を買う値段とあまり変わりません。選択肢の一つとして頭の隅においておくといいかもしれませんね。

 青い絨毯が印象的なリビングは、重歩行用の厚みのある絨毯を使っており、かなりふかふか。ここにはベッドを置くこともできます。

 ベランダ側には畳の小上がりを作りました。ここからは富士山を眺められます。コの字型になっている部分にはテーブルを置いて座り、残りのスペースではゴロゴロできるよう設計しました。

 お風呂やラウンジがゆったりしている分、キッチンはミニマムに。大がかりな料理をする想定はしていないので、冷蔵庫はカウンター下のミニバーに集約。ホテルのような感じです。

 働き方が多様化しているいま、郊外にこういった住まいを構え、遊び心のある暮らしを楽しむという選択肢もあるかもしれませんね。

リノベーションの写真 つづきはこちら

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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