リノベーション・スタイル

<130>渋谷方面が見下ろせる、抜けのある眺望を生かす

  • 文 石井健
  • 2016年7月27日

 [H邸]
 Hさん一家(夫36歳・妻42歳・長男2歳)
 渋谷区 築44年/65.0m²/総工費 約1000万円

    ◇

 お子さんがいる場合、もしくはお子さんが生まれる可能性がある場合、住まいをどうするかは大きな問題です。将来、子ども部屋を作れるようにあらかじめ設計することもありますし、子どもが大きくなったら広い家に引っ越すという選択肢もあります。

 今回紹介するHさんご夫婦は、お二人とも都内勤務。自転車で通勤できる都心部で物件を探されていました。見つけたのは、渋谷方面が見下ろせる高台の中古マンション。当時すでに築43年でしたが、エントランスもいい雰囲気で、65平米とほどよい広さ。子どもが大きくなるまで、というイメージを念頭に置きながら、眺望を生かしたリノベーションをすることになりました。

 ご主人からの要望は大きく二つ。自転車を3台お持ちだったので、自転車置き場が欲しいということと、書斎スペースを持ちたいとのこと。奥様からは、キッチンを広くしたいという要望だけでしたが、お宅に伺って打ち合わせをするうちに、「自分の趣味のスペースも欲しい」ということで、玄関にニッチを作り、そこにベティ・ブープのコレクションを飾ることに。

 言葉で「こうしたい」と世界観を伝えることはなかなか難しいものです。そのため、僕らはよく施主さんが住んでいらっしゃる家に伺います。そうすると、必ずその方たちの好きなものがそこにあります。「こういうのが好きなんですね」と話し始めると、スイスイ話が進みます。家という大きなものではなく、身近にある小さなものから話を始めると、意外とアイデアが発展するものなんですね。

 間取りは、モルタル床の玄関から入ると、右手にサニタリールーム、左手にワークスペースがあり、奥にキッチンとリビング、ウォークインクローゼット、寝室がある構成です。大きな窓を生かすため、リビングと寝室の間には壁を作らず、ロールスクリーンを設置しました。抜けのある風景が魅力なので、実はバスタブからも外が見えるように設計しています。子ども部屋はありません。

 「とりあえず10年くらいここに住めればいいかな」と割り切ったことで、都心の好立地でありながら、ほどよい広さを持つ快適な空間ができました。こういった場所なら、将来住み替えをするにしても、すぐに売れるでしょう。今何が欲しいのか、優先順位を決めることが、豊かな暮らしにつながるといういい例ですね。

リノベーションの写真 つづきはこちら

[PR]

PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

&wの最新情報をチェック


&wの最新情報をチェック

Shopping