リノベーション・スタイル

<131>「ドイツの公営団地」に、選び抜いた家具たちと住む

  • 文 石井健
  • 2016年8月10日

 [S邸]
 Sさん一家(夫40代・妻40代)
 板橋区 築33年/72.6m²/総工費 820万円

    ◇

 今回ご紹介するのは、家具やインテリア雑貨が主役のリノベーション事例です。Sさんご夫婦は、もともと家具がお好きで、インテリア雑誌にも付箋(ふせん)がびっしり。相談に来られたときから、お二人とも居心地のいい空間に対するこだわりがありました。

 1年ほど物件を探し続けた末に見つけたのは、都心からもアクセスのいい元団地。緑が多く近くに大きな公園もあります。壁式構造なので間取りはほとんど変えられませんが、南向きで条件もよく、この物件をリノベーションすることになりました。

 インテリア好きのお二人、いろいろとやりたいことはありましたが、予算の上限は800万円。そこで、コストを下げるためにリノベーション自体は極力シンプルにすることに。基本的に壁は白、ドアは黒のモノトーンでまとめ、家具や雑貨が映える空間を造っていくことになりました。イメージとしては、後で自由にお二人の世界を描ける“キャンバス”を造る感じです。

 間取りは、玄関から入ると、右手がベッドルーム、正面がウォークインクローゼット、左手にキッチン、水まわりがあり、その奥に17畳のリビングがあるという構成です。シンプルですが、奥様がフランスのアンティークがお好きとのことで、全体的に“ドイツやオランダの公営団地”をイメージして設計しました。

 キッチンはクローズドですが、リビング側の壁に大きな窓を設置したので自然光が入り、開放感があります。内側には白いサブウェイタイルを貼り、ブルックリンスタイルに。

 リビングはとにかく“広い”という印象です。Sさんご夫婦は、モノはできる限りウォークインクローゼットに収納し、リビングには置かないようにしているそう。そのため空間に余白があり、実際の広さよりずっと広く感じられます。

 そんな広々としたリビングの主役はもちろん家具。ソファ、椅子、キャビネット、ランプ。どれもお二人が厳選したものばかりです。ソファ前のローテーブルは、もともとハイテーブルだったものを、自分たちで短く切ったものだそう。テレビボードはいいものが見つからなかったので、余った床材を近くの公園に持って行き、そこで“日曜大工”をして造ったのだとか。カーテンも、奥様が布を買ってきて造ったオリジナルで、ドアノブは、落成後に自分たちでめっきをはがし、エイジング加工をしたそうです。

 “キャンバス”のような空間に、自分たちが好きなモノを自由に置き、理想の暮らしを描く。そんな風に日々自分たちの世界を積み上げていく生活は、とても豊かですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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