リノベーション・スタイル

<136>リビングの一角に、プライベートコテージを造る

  • 文 石井健
  • 2016年10月19日

 [LePlan]
 Tさん(夫・妻 60代)
 東京都東久留米市 200m²/総工費 1800万円

    ◇

 Tさんのお宅はもともとバレエスタジオ兼自宅として使われていた家。そのため、1階部分だけで150平米ほどあり、天井高も4.2メートル。この広さを生かし、ガーデニングデザイナーだった奥様は長い間1階でアンティークや植物を扱うショップを経営されていました。

 1階がお店ですので、Tさん一家の生活エリアは2階です。ただ、キッチンだけがなぜか1階にあり、使い勝手の悪さが長年のネックでした。ご夫婦で暮らしていましたが、奥様がそろそろリタイアを考え始めたタイミングで、思い切ってリノベーションをしようということで、ご相談に来られました。

 まずご要望をいただいたのは、「生活圏を1階にもってきたい」ということ。お年を召してくると、当然階段の上り下りは大変になりますし、ましてや今のままでは生活動線もよくありません。

 ただ、1階は2人暮らしにはあまりに広く、天井も高いため、冬は寒さが気になります。そこで考えたのが、家の中にもうひとつ家を造るということ。たとえば、家全体をホテルに見立てると、共用スペースのラウンジやインナーテラスがあり、その中に自分たちのプライベートコテージがある、というイメージです。こうすればキッチンとの動線もよくなります。このプランを話したところ、奥様が非常に気に入ってくださり、リノベーションを進めることになりました。

 1階の奥に造ったコテージには寝室、クローゼット、お風呂、洗面所などを入れ、それだけでホテルの一室のように完結するようにしました。お風呂も含めると10畳ほどの広さがあります。冬はこの中で暖房をつければとても暖かくなり、夏は観音開きの扉を全開にすれば風通しもよくなります。

 コテージから出ると、そこはパブリックスペースのリビング。ショップ時代のフローリングが経年変化でいい味を出していたのでそのまま残し、一部だけ石貼りをしてインナーテラスにしました。暖炉やれんがで造ったソファも設置しています。

 キッチンは8畳ほどあり広々としています。キッチンからインナーテラスのダイニングへ、コテージからキッチンへ……動線はかなりスムーズになりました。

 一方、2階はクロスを張り替えたりした程度です。このスペースは収納に使ったり、お客様がきたときのゲストルームとして使うことにしました。

 同じ住まいでも、人生のステージに合わせて変えていけばいろいろな住み方があるのです。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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