花のない花屋

30歳のひとり娘から57歳の父に贈る花束

  • 文 椎木俊介
  • 2013年1月17日
父との会話が生まれるきっかけに

  • 父との会話が生まれるきっかけに

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〈依頼人プロフィール〉
 関 真麻 30歳 女性
 東京都在住
 会社員(朝日新聞デジタル&w編集部員)

     ◇

 2010年の夏、5年ぶりに実家に帰ったら、父が痩せているのに驚きました。どんな食生活を送っているのか? 病気じゃないのか? 心配になります。
 母に聞いたら、「あまり食べなくなった」と言っていました。

 人見知りで、無口な父は警察官。
 趣味は釣りや山登り。家では、ひたすら映画鑑賞をしています。

 音楽はクラシックやジャズだけでなく、木村カエラや倖田來未まで聴いているようで、ピアノやお琴を黙々と弾くのが好きという変わり者です。
 幼い頃は、休みの日の朝はいつも父が弾くショパンの夜想曲で目覚めていました。それだからか、今でも不思議と日曜日の朝は、夢の中でショパンの曲が聞こえてきます。

 私は大学にあがるときに上京し、就職してからは地方を転々として、いまは東京でひとり暮らし。「帰ってこい」と言われたことは一度もありません。ひとり娘なのに、心配してないのかなと思うくらい、電話もかかってこない。でも以前、お付き合いしている男性の話をしたとき、「どこの生まれだ? 家柄は?」と必死だったから、気にはしているのだと思います。

 父とはなかなか一緒に旅行に行くこともできなかったし、中学の頃から話したいことがあっても、なんて話しかけていいのかわかりませんでした。なにか用事があっても、母に「伝えといて」と。いまでも、照れくさいというか、何を話せばいいのかわからないというか。

 一度だけ、父にプレゼントを贈ったことがあります。就職して、初めてもらったお給料で財布を買いました。毎日持つものだし、10年以上同じ財布を使っていたのを見て、大事に使ってくれそうだと思ったからです。

 でもそれ以来、誕生日や父の日にプレゼントもメールも送ったことはないのです。

 もうすぐ私は31歳。父は57歳で単身赴任中。
 もう、いい大人だし、一緒に旅行にも行きたいなあ。会話するきっかけになりそうな花束を贈りたいです。

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PROFILE

東信(あずま・まこと)

1976年、福岡県生まれ。男3人兄弟の末っ子。2002年、東京・銀座に「ジャルダン・デ・フルール」を開く。05年、パリのセレクトショップでクリスマス・ディスプレーを手がけて評判を呼ぶ。07年以降、ドイツ、イタリア、ベルギーをはじめ国内外で展示会を開く。他業種とのコラボレーション商品の開発にもかかわり、12年からサントリー・ミドリエのクリエイティブ・ディレクターに就任。現在は、東京・南青山に拠点を構える。

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