リノベーション・スタイル

<3> 「かもめ食堂」と「居酒屋」をひとつに

  • 文 石井健
  • 2013年1月23日
正面奥が玄関につながるインナーテラス。右手が畳の上がり、左手がキッチン

  • 正面奥が玄関につながるインナーテラス。右手が畳の上がり、左手がキッチン

  • 小上がりの下は収納スペースに。奥の壁の向こう側に寝室がある

  • 玄関からキッチンに抜ける廊下。サニタリースペースも兼ねている

  • 玄関を開けると、縦長に広がるインナーテラスが。ここで靴を脱いで部屋へ上がる

  • 「かもめ食堂」を参考にしたキッチン。ステンレスの収納テーブルは可動式

  • キッチンと隣り合わせのお風呂。ガラスブロックを使い、外の光が入るようにした

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 Tさんご夫婦は最初から、それぞれに「これが欲しい」という明確なポイントがありました。奥さんのリクエストは映画「かもめ食堂」のようなキッチン。ご主人は「居酒屋」。さて、この相反する二つの要素をどう一つの空間におさめるのか。いろいろと話し合っていくうち、ご主人のいう「居酒屋」とは、つまり“みんながワイワイ集まって畳で飲める空間”ということが判明しました。

 その結果、小上がりの畳スペースを作る形に落ち着いたんです。北欧風のキッチンとも雰囲気が合うよう、モダンな黒い畳を選びました。下はすべて収納スペースです。畳の小上がりの裏側には寝室があります。布団なので、続きの間のようになっています。ただ、“居酒屋”の畳スペースから地続きだとちょっと落ち着かないので、あえて上がりをつくって、またいで寝室に入るようにしました。

 もう一つ特徴的なのは、北側にあるインナーテラスです。玄関から続くフリースペースで、光をうまく採り入れられたので、北側でも明るくなりました。ガラス戸を閉めれば断熱効果もあります。コンパクトな空間でも、こういったフリースペースがあると、空間にゆとりが生まれるんですよね。

 ちなみにこの家は「tori」と名付けたんですが、フィンランド語で「広場」とか「交差点」というような意味です。人が集まる場所という意味と、間取りがL字型なので、キッチンのある“奥さん通り”と、畳のある“旦那さん通り”が交わるという、日本語の“通り”をかけています。

 弊社では、リノベーションをするとよく家に名前をつけるのですが、なんとなく自然にそうなっていったんですよね。自分たちのための空間、自分たちの物語を編んで完成した家という意識が、自然と家に名前をつけさせるのかもしれません。“○○マンション”といっても、いまひとつ伝わりにくいですしね。ちなみに、名前はうちのスタッフが考えるときも、施主さんが考えるときもあります。家に名前をつける、という行為は住空間の個性化が進んだということなのでしょう。(談)

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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