太陽のまちから

「夢物語」ではないエネルギーシフト

  • 文 保坂展人
  • 2013年2月19日

 「自然エネルギーを巧みに使うまちづくり」を掲げて、世田谷区長として取り組みを始めてからまもなく2年になります。

 昨年は、区の購入する電力を競争入札を実施して東京電力以外の新電力(PPS=特定規模電気事業者)に切り換えたことが話題を呼びました。さらに、太陽光発電パネルを一括大量発注して1千戸の普及を目指す「ヤネルギープロジェクト」も好評です。

 来年度は、神奈川県三浦市に区が所有している「健康学園」の跡地を利用して、400キロワット規模の太陽光発電所をつくることや、太陽光発電に限らず自然エネルギーや省エネのためのリフォームを促す助成制度を設けることを発表しました。

 これらは、まだ助走にすぎません。私が最も注目しているのは、3年後に実現しそうな「一般家庭への電力自由化」です。自宅で使う電気をどの電力会社から買うかを消費者が選べるようになる。その前に立ちはだかる壁を何とかして破りたいと考えています。

 ちょうど1年前、エネルギー問題を議論する場でこんな声を聞きました。

「私たちは、自然エネルギーを使った電力を選びたい。今の電力料金よりもいくらか高くても買いたいんです」

 世田谷区のある生活協同組合(生協)代表の発言でした。それを聞いて、なるほどと思いました。

 環境問題をとらえた記念碑的作品『複合汚染』(有吉佐和子)がベストセラーになった1970年代、食の安全の確保のために、有機野菜を共同購入する動きが広がりました。同じ野菜でもスーパーよりも高い価格で購入する消費者が顔の見える生産者と結びついていくようになったのです。そう考えれば、「電力の共同購入」ってありえるなと思いついたのです。

 たとえば、新たに設立される電力会社「A電力」が、水力や天然ガスをベースにしながら、被災地の太陽光や風力から生まれる電力を積極的に購入することでグリーン度の高い電力を供給するとします。それを世田谷区内の5千世帯が共同購入すれば、現在の送電網を使ってA電力からグリーンなエネルギーが供給されるというわけです。

 経済産業省の電力システム改革専門委員会はこの「一般家庭への電力自由化」を3年をメドに実現させる方向で報告書をまとめる、と伝えられています。

 3月2日(土)には、「世田谷発 電力を選べる社会へ」と題したシンポジウムが開かれます。「一般家庭への電力自由化」の実現を望む消費者・利用者の側から電力供給システムの改革を後押しする、初めての動きではないかと思います。エネルギーシフトはもう、「夢物語」ではないのです。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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