リノベーション・スタイル

<7> 古道具の存在感を引き立たせる

  • 石井健
  • 2013年2月20日
[doux](東京都杉並区) 山田さん一家(夫40歳、妻41歳、長男2歳)/築44年/85m²/工事費1300万円

  • [doux](東京都杉並区) 山田さん一家(夫40歳、妻41歳、長男2歳)/築44年/85m²/工事費1300万円

  • タバコ屋のショーケースを食器棚に。アンティーク家具がモダンな和空間をつくる

  • 床の間のような玄関スペース。奥様の書がかかっている

  • モルタルと白いタイルでつくった洗面所。木の棚はアンティーク

  • 寝室とワーキングスペースを仕切るのもアンティークのガラス戸

  • 左手の棚は学校で使われていたもの。壁の一部はガラスブロックに

  •   

 最初にリノベーションのご相談にいらしたとき、奥様が「こういう家具をこういう店で買います」とはっきりおっしゃっていて、すでに部屋の世界観ができあがっていました。そのため、モノを探しながら同時進行で設計を進めていくことになりました。

 家の名前、「doux」とはフランス語で“穏やかな”とか“あたたかな”という意味。その名の通り、山田さんご夫婦がセレクトした家具はどこかほっとできるアンティークが中心です。すりガラスの窓や菱形の文様の入った引き戸など古建具がいたる所で使われており、キッチンの食器棚などはタバコ屋さんのショーケースです。モノ自体の存在感があるので、部屋は家具がなければ物足りないくらいシンプルにしました。

 キッチンはこちらで作りましたが、色はすべて家具に合わせています。意外と大変だったのは古い扉の立て付け。高さや幅を調整しながらやりましたが、年代ものだとけっこう難しいですね。

 奥様の趣味が書なので、お部屋には書をするためのワークスペースがあり、床の間のような空間の玄関には作品が飾ってあります。小さな子どもがいると、そういった装飾的なスペースを諦めてしまう方もいるかもしれませんが、実際は逆のような気がします。新しい家に引っ越すと、子どもは意外とモノを壊したり汚したりしないんですよね。親の緊張感が伝わるのかもしれませんが(笑)、子どもも「すてきだな」と思ったら、汚さないものです。

 大事なのは、まず自分たち親が好きな暮らしを優先し、もし子どもが何かをやったら、叱るなり許すなり対応すればいいのです。子どもと一緒に、暮らしって何だろうと考え、感性を育てていく。そんな「住育」も必要なんじゃないかと思います。(談)

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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