太陽のまちから

「電力の共同購入」という潜在的市場

  • 文 保坂展人
  • 2013年3月19日

 3月18日夜、福島第一原発で停電が発生し、1・3・4号機の使用済み燃料プールの冷却も停止しているというニュースが飛び込んできました。

 世界を震撼させた原発事故から2年。福島県内外で16万人の人々が避難生活をしているとはいえ、連続メルトダウンという異常事態は「現在進行形」であるとの意識が希薄になりつつあるなかでの出来事でした。

 そんななか、5日に書いた「東京電力をやめて年間6000万円の節約」というコラムには多くの反響をいただきました。記事がアップされると、Facebookの「おすすめ」は3日で1万を超えました。その拡散のスピードと広がりに驚きました。

 昨年の大飯原発再稼働後に、脱原発を求める声が大きく広がり、当時の民主党政権も「原発ゼロ」に向けて舵を切ろうとしました。ところが、自民党の安倍政権発足後、ニュースは円安・株価上昇などが中心となって、「脱原発やエネルギー転換」についての議論は棚上げされたかのような扱いになっていると感じます。

 あの1万を超える「おすすめ」が押された背景には、そんなモヤモヤ感を持つ人が相当いるようにも思います。

 ところで、3・11以後の「エネルギー政策」をめぐる議論を注意深く見ていくと、じつは大きく変化しているように思います。

 原発事故直後は、「計画停電」の影響もあってか、「原発は危険ではあるけど、止めると停電の危険がある。社会の安全のために止めるべきではない」という意見が多数を占めていました。

 ところが、東京電力管内では、昨夏の猛暑やこの冬の厳しい冷え込みでも供給危機に陥ることなく、「原発ゼロ」で乗り切っています。脱原発か否かの論点は、「(火力発電所で使う)化石燃料の輸入コスト」に移っています。

 また、電気料金の値上げをめぐって、これまで閉ざされてきた電力会社の経営構造も見えてきました。東京電力の供給量の4割にすぎない一般家庭部門で、利益の9割を確保していたことが明らかになったのです。

 経済産業省と電力会社の「電力自由化」をめぐる駆け引きではこれまで、土壇場で電力会社の政治力に寄り切られる形で封印されてきた「電力の完全自由化」がようやく実現に向けて動き始めようとしています。最近読んだ、科学ジャーナリスト竹内敬二さんの近刊『電力の社会史 何が東京電力を生んだのか』(朝日新聞出版)が3・11以後の大きな骨組みの変化をよく伝えています。

 たしかに、2月に公表された「電力システム改革専門委員会」の報告書には、「電力選択の自由を一般国民に保証する。電力事業の効率化をはかるため、家庭の小口需要も含め、小売り市場への参入を全面的に自由化する」と明記されました。

 このように、地域が独占し、発送電が一体化した日本の電力供給システムに大きな変化が生まれようとしている今、浮かびあがってきたのが「電力を選ぶ社会」というテーマなのです。

 キーワードのひとつが「電力の共同購入」という言葉でしょう。

 かつて1970年代に「複合汚染」が問題となり、食の安全が社会問題となりました。当時、都市部の消費者が顔の見える生産者と直接に結んで、有機野菜を入手する「産直・共同購入」が盛んになりました。価格はスーパーより高くても、消費者は安全を選んだのです。

 東京都生活協同組合連合会のアンケートで、2千人の組合員の約4割が「再生可能エネルギーによる電力であれば、電力会社の料金より多少高くてもかまわない」と答えています。この数字は、「電力の共同購入」の潜在的市場が存在することを物語っています。こうした潜在的市場に意欲的な新規事業者の参入を呼びかけていくのが「電力自由化」前夜に必要な取り組みだと思います。

 3月のシンポジウムに続き、4月8日には「世田谷発 電力を選びたい ビジネス編」が開かれます。電力自由化を前に何ができるのか。事例報告も含めて自由闊達に語り合いたいと思います。詳しくはこちらをご覧下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

おすすめ

部屋干しの洗濯物にニオイがつかない衣類乾燥機能や、PM2.5も除去できる空気清浄機能を搭載した最新商品をご紹介

日本が誇る戦闘機「零戦」が、精密に作り込まれた木製キットで登場

CDの音質を超えたハイレゾ音源をワイヤレスで再生できる高機能オーディオプレーヤーをご紹介

さらなるパワーアップを遂げたダイソン。15個のサイクロンでハンディータイプとは思えない高い吸引力を実現

愛犬と共にサムライブルーのユニフォームを着て、日本代表を応援しよう

ケースに入れるだけで、お手持ちのデジカメが防水カメラに変身!


Shopping

  • ダイバーシティープロジェクト