太陽のまちから

中・高校生だって「まちづくり」したい

  • 文 保坂展人
  • 2013年3月26日

 20代前半から30代にかけての私は、中高校生の話を聞くほうが大人と話す時間をはるかに上まわっていました。中高校生や若者たちと話すことは日常そのものでした。

 というのも、ジャーナリストとして全国の学校現場を飛び回り、「明星」という芸能誌と「週刊セブンティーン」という少女向け雑誌にルポを書いていたからです。

 連載をはじめてまもなく、教師による体罰で重症を負った少女について、「もし先生に涙があったら」という記事を書きました。それが読者アンケートでいきなり上位に入り、反響の手紙も100通を超え、『先生、涙をください!』というタイトルの本にもなりました。その後も「校内暴力」「いじめ」「校則」の問題を追いかけて、中高校生の声に耳を傾け、締め切りの前日は出版社に泊まり込んで徹夜で記事を書くという生活を続けていました。

 政治家に転じた96年からは、永田町を動かす老境に近い政治家たちと話をすることが多くなりましたが、2年前に世田谷区長になり、ふたたび中高校生や若者の声を聞く機会が出てきました。

 そして、3月24日にも「中高校生との意見交換会」を開きました。昨夏、初めて開催したところ、「もっと区長自身の言葉が聞きたかった」「時間が短すぎた」といったメールが届いたため、第2弾を約束していたのです。そこで、「ユースミーティング世田谷」というグループの中高校生たちが4チームに分かれて、「区長への企画提案・プレゼンテーション」を発表してくれました。

 最初のチームは、「公園と緑の充実を――自分たちが動くことで」というテーマ。

「大人に『公園』づくりをまかせるのではなくて、自分たちがデザインできないか。中高生が思い切り遊べる公園が少ないので、花火やボール遊びができる公園にしたい。また、地域の清掃活動に参加して、ただ楽しむだけではないことをアピールしたい」

 次のチームは、「中高校生のための理想の施設」。地域の廃校舎を活用し、自分たちで運営するというアイデアです。

 1階の「ちびっ子フロア」は保育園・児童館で、中高生がボランティアできる。2階は図書室とお昼寝室。さらに宿泊部屋、キッチン、フリースペース、美術室や防音設備のある音楽室など。3階は 学年ごとの自習室をつくり、気軽に教えあうことができるようにする。また、サークル活動をはじめ、スポーツや演劇の発表の場にもなる。

 運営の責任者である「総理大臣」をトップに、他の団体との交流や広報を受け持つ「外務大臣」、自習室の参考書を集める「文部科学大臣」、ルールを決める「法務大臣」、予算案をつくる「財務大臣」、サークルなどの活動を管轄する「サークル大臣」、そして、駐輪場の管理をする「二輪大臣」を設けるというのです。

「このメリットは責任感をもち、達成感を得られること。小学生だけでなく、中高生世代からも憧れられる。『総理やってます』と言えたら、なんか、すごい」(参加者の高校生)

 三つ目のチームは「中高生が主体となって行事・お祭りを企画したい」。希望者がブースを出し、ステージでは中高生のバンドライブやダンスをするほか、「肝試しコンテスト」などを開く。中高校生が企画を進めることで活動の場が広がり交流が深まる、というのです。

 そして、最後のチームからは「区長との意見交換会を制度化する」と提案がありました。「YPC(ユース・パブリック・コメント=若者意見提出制度)」という名称で、中高校生が定期的に区長に意見を伝え、フィードバックを受ける。

 たとえば、総合的学習のカリキュラムに「自分の住んでいる町について考える授業」を加えて、まちづくりに関心のある若者を増やす、といった意見を生徒会に託す。そうした声を各校の生徒会がまとめ、代表者たちでつくるYPCサミットに諮り、区長に要望を出して回答をもらう。この制度を確立できれば、中高生でも常に区長と意見交換ができるようになる、というのです。

 こうした新鮮な発想にふれて、私はこうコメントしました。

「すべてを一挙に実現することは難しいけれど、その一部をはじめることは大いに可能です。すべてが動かなかったからといってあきらめないで、少しでも実現していくように積み上げていってほしい」

 桜の咲く日曜日の午後に集まったのは、普段から話し合いをしたり、自分の意見を言う機会に恵まれたりしている中高生でした。彼らがポジティブな提案をしてくれたことに心が熱くなりました。未来をになう若者たちとの共同作業を始めるきっかけができたように思います。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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