太陽のまちから

新設したミニ発電所と井戸給水システム

  • 文 保坂展人
  • 2013年4月16日

写真:容量2万リットルのオイルタンク(撮影 世田谷区)容量2万リットルのオイルタンク(撮影 世田谷区)

写真:濾過設備(撮影 世田谷区)濾過設備(撮影 世田谷区)

写真:メダカ監視装置(撮影 世田谷区)メダカ監視装置(撮影 世田谷区)

写真:ミニ発電所外観(撮影 世田谷区)ミニ発電所外観(撮影 世田谷区)

 この春、世田谷区役所に独自のミニ発電所と、自動濾過(ろか)システムをもつ井戸が完成しました。駐車場に四角いコンクリートの箱のような建物ができあがり、まもなく緑のカーテンに覆われる予定です。

 ミニ発電所は、地下に埋設されたタンクには軽油2万リットルが保管され、給油なしで72時間稼働します。ガスタービン発電機が出す電力は毎時500キロワット。4月に入って1度だけ停電になりましたが、さっそく自動稼働して電気の供給を始めています。

 井戸は最も深いところで地下80メートルから取水し、濾過のための配管が複雑にめぐらされた小型の水プラントです。奥には、「メダカ監視装置」があります。井戸から汲み上げられた水に異物があると、メダカはこれを察知して暴れ回ります。そのため、水槽全体を監視カメラで見ていてメダカの異常行動が検知されると、取水を自動停止する仕組みです。

 井戸水は、いくつかの濾過装置を通過して、最後に20万分の1ミリの単位で異物を除去するフィルターを通って飲料水となります。何杯か飲んでみましたが、すっきりしたミネラルウォーターという印象でした。

 能力としては、最大150トン、約5万人分の飲料水を確保することができますが、平常時は、東京都の環境条例で定められた取水量制限の範囲内の日量10トン分を水道水とともに庁舎で使います。水道費用の削減につながるほか、災害用の大量のペットボトル水の備蓄を減らすことができるのです。

 さらに地下には、下水への放流ができなくなった時にそなえて、4日分の排水を溜めておける排水槽も設けました。

 災害時の「長時間停電」や「長期間断水」に備えて、区役所としての準備を始めたのは、2年前に区長に就任してまもなくのことでした。「想定外」という言葉が使われすぎた反省に立って、区の災害対策を予断を排してすべてを見直しました。この中で、優先すべき事項としてあがってきたのが区役所の災害対策本部機能の強化でした。

 本部の置かれている庁舎が古く、非常用電源も6〜7時間しかもたず、司令塔としての機能が十分果たせない可能性がある、というのです。これは優先して解決すべきだと判断し、72時間稼働する非常用発電機を備えることと、飲料水確保のために井戸を掘ることにしました。さらに、災害対策本部機能を耐震性能が高い庁舎に移転をすることも決めたのでした。

 自治体の仕事は、議論を議論のまま終わらせることは許されません。私たちは、かならず目に見える形で結果を出すことが求められています。そのためにも、行政の取り組みをはばみかねない、縦割り意識と横並び意識は排除しなければなりません。

 3.11を境に、これまでの「常識」は見直しを余儀なくされました。「前例がなければ、前例をつくる」。それが私の仕事だと考えています。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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