リノベーション・スタイル

<14> 高層階に光あふれるインナーテラス

  • 石井健
  • 2013年4月17日
[PARQUET](東京都渋谷区)Oさん(30代)/築36年/65.60m²

  • [PARQUET](東京都渋谷区)Oさん(30代)/築36年/65.60m²

  • インナーテラスは光あふれる贅沢な空間になった

  • 玄関からLDKの入り口までは上質なタイルを敷いている

  • 暖かみのある木製の家具を多用。キッチンは白い壁で囲みすっきりと

  • 使用する素材は一つ一つ相談しながら決めていった

  • 清潔で暖かみのある洗面所。ガラスの向こうが浴室

 あんな家が欲しい、こんな部屋に住みたいと、具体的なイメージが頭の中にあっても、理想の物件にであうのは難しいこと。でも、見つからないからといって諦めることはありません。

 Oさんは物件探しからお手伝いをしましたが、当初から「新宿、渋谷に自転車で出られる」「広いバルコニー付き」という条件で探していました。1年以上かけてやっといまの部屋にであったのですが、家の前には高速道路が走り、高層階だったためにバルコニーはなし。でも、バルコニーの代わりに「インナーテラス」を室内に作ることで、理想の物件になったのです。

 インナーテラスは、LDKの間口いっぱいにスチールサッシとガラスの引き戸を設置して作っています。明るい光があふれ、まるで外の空間を室内に持ち込んだよう。植物を育てたり、自転車置き場にしたり、洗濯物を干したり。いろいろな使い方ができます。

 こだわったのはスチールサッシ。既存の製品ではないので、スチールの素材、ガラス部分の割り方のバランス、組み方、木の種類、太さ、色などを吟味し、何度も模型を作って決めました。最終的には、枠を極限まで細くして繊細さを出しながらも、黒皮塗装で男っぽい表情に。寝室の回転窓も同じスチールサッシで作っています。寝室はこの回転窓があることで、自然光が入り込み、風通しがよくなりました。

 LDKはひと続きにして広々とした空間に。床はパーケット貼りで、テーブルや椅子は時間とともに味が出てくる木製を選んでいます。キッチンは空間の中でうるさくならないよう、白い壁で囲みました。

 洗面所と浴室はガラスで仕切り、ひと続きの明るい空間にしました。洗面台には暖かみのある木を使い、浴室のタイル貼りの寒そうな感じを和らげています。洗面台を床から浮かせて壁で固定しているのは、空間を広く感じさせるためです。

 一つ一つの素材、パーツを納得いくまで吟味し、選び抜いた家具だけを置く。Oさんは「自分がどうしたいか」がはっきりしているからこそ、多少“理想の物件”とはずれていても、このような素敵な空間ができたのでしょうね。(談)

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)


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