太陽のまちから

株式会社参入で保育の「質」は保たれるか

  • 文 保坂展人
  • 2013年5月7日

 884人。
 4月30日に、世田谷区の保育待機児数(4月1日現在)を記者会見で公表しました。昨年の786人を98人上回り、過去最多を更新。首都圏の各地で「待機児問題」がクローズアップされるなかだけに心苦しくもありましたが、それだからこそ、他の自治体に先駆けていちはやく公表することにしました。

 そして、来年度、1000人としていた保育園児の定員増加枠を1.5倍の1500人に広げます。とはいえ、待機児解消までの道は容易ではありません。世田谷区ではこの3年間、0歳から5歳までの子ども人口が年間で1000人増加するという傾向が続いています。そのうえ、これから生まれてくる子どもたち、あらたに引っ越してくる子どもたちにも目配りが必要だと認識しています。

 早急な定員増を実現させるために、国の安心こども基金の「保育所緊急整備事業」を活用します。これは、施設整備費の50%を国が、25%を東京都が、さらに12.5%を世田谷区が支援するという手厚いものです。保育所を新たにつくろうという事業者は残る12.5%を負担すればよく、しかも低金利で融資を受けられるのです。

 対象となるのは、社会福祉法人、幼保連携型認定こども園を手がける学校法人、日本赤十字社または公益社団法人等とされていて、株式会社は入っていません。

 各自治体の基準が株式会社の保育事業への参入障壁になっている、と首相への諮問機関「規制改革会議」で話題になりました。世田谷区のように、自治体が認可保育園の事業主体を社会福祉法人に絞っていることが株式会社の参入を阻み、待機児増加の一因になっている、というのです。

 私は、株式会社が保育事業をになうことを頭ごなしに否定するつもりはありません。それどころか、世田谷区内でも認証保育所は44の株式会社に運営してもらっています。

 いま、世田谷区内で100人規模の認可保育園を整備するのにかかる費用は、土地を区が貸与した場合に、約2億4千万円にのぼります。土地さえ確保できれば、事業募集には10前後の事業者(社会福祉法人)が運営したい手を挙げています。また、事業者自身で土地を確保できれば、区に提案することもできるようになりました。

 ただ、よく考えてみてほしいのです。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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