リバースプロジェクト

だれもが「彫刻刀」をもっている 伊勢谷友介(2)

  • 2013年5月20日
伊勢谷友介さん(撮影 篠塚ようこ)

  • 伊勢谷友介さん(撮影 篠塚ようこ)

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 &wで連載中の「リバースプロジェクト」の活動をまとめた本が出版された。タイトルは『社会彫刻』。俳優、映画監督として活躍する一方、リバースプロジェクトの代表でもある伊勢谷友介さん(36)初めての著書は、リバースプロジェクトの成り立ちから、さまざまな活動、さらには伊勢谷さん自身の言葉でつづられたツイッターの抜粋など、盛りだくさんの内容だ。なぜリバースプロジェクトを立ち上げ、なぜ社会や環境のためのプロジェクトに取り組むのか。人はだれも生まれながらに「彫刻刀」をもっている、という。その真意とは――。

    ◇

――俳優、映画監督、会社社長。伊勢谷さんは「三つの顔」をお持ちですが、それぞれどんなふうに使いわけているのでしょうか。あるいは、すべてに重なり合う核のようなものがあるのでしょうか。
 三つ、それぞれの顔で、それぞれの生き方をしていると思います。きっと、俳優だけでは完結できない部分を、ほかの何かで補っている。俳優としては、その役が伝えようとするメッセージはかならずしも自分が訴えたいテーマとは限りません。監督としては自分が掲げるテーマだったり、訴えたいことをまっすぐに表現できる。リバースプロジェクトでは、そうした思いやテーマを具体的に目に見える形にすることができる、という違いはあるかもしれませんね。
 僕という人間がいま、できることをあの手この手で取り組んで、なんとかよりよい状況を生みだそうとしている――。そんな感覚でしょうか。世の中には、ひとつのことを極めようとする人もいるでしょうが、僕はたまたま、三つできる。いや、三つやることによって、自分を表現し尽くせるようなところがあるように思います。たまたま、僕はそういうほうが得意なタイプだからやっているにすぎません。もちろん、僕が俳優としてある程度、知られていることで、リバースプロジェクトの存在を広く知ってもらいやすいというところはあるでしょう。

――つまり、三つの顔をもつことが、伊勢谷さんにとっては重要なんですね。

 本のタイトルにした「社会彫刻」という言葉はもともと、ドイツの美術家であるヨーゼフ・ボイスが提唱した概念で、「だれもが創造性を発揮して、自分で考え、自分で行動することを通してよりよい社会をつくっていくべきだ」という考えです。そう考えれば、いま僕は3本の彫刻刀を持っているといえるのかもしれません。それが社会のために自分を最大限に生かす道なのでしょう。
 もちろん、僕の生き方が正しいというわけではなく、それぞれがそれぞれの人生のなかで、それぞれの彫刻刀を使っていけばいいのではないでしょうか。
 先日、あるテレビ番組で「清掃員画家」という肩書のガタロさんという方を知りました。朝早くから商店街の清掃をしていて、拾ってきたクレヨンを使って、雑巾などの掃除道具の絵を描いているんです。周囲をきれいにする道具は美しい、との思いから、掃除道具を描いている。
 ガタロさんは仕事のかたわら、汚す人を怒るのではなく、逆に「飯食ってるのか?」などと声をかけ続けたそうです。すると、トイレを汚す人が少しずつ減っていった。清掃員というのはいまの社会では、もしかしたら誰からも目を向けられない職業かもしれません。でも、彼は自分の仕事に真摯に向き合って、自分が必要とされているところで生きようとしているのです。絵も素晴らしいのですが、ガタロさんの生き方そのものがシンプルなアートではないかと感じました。

――リバースプロジェクトの主なメンバーは、伊勢谷さんの母校である東京芸術大出身のクリエーターが多いですね。

 はい。仲間は絶対的に必要な存在です。会社を立ち上げるときに、同じ目的を共有できる仲間と一緒に歩き始めようと考えました。そして、一つ成功例ができると、どんどん広がっていきました。
 だれにも仲間はいると思います。「こういうことを目的に形にしようと思うんだけど、力を貸してくれないか?」と声をかけることができれば、一歩前に進みやすくなるんじゃないでしょうか。何よりも大事なことは、自分でしっかりと考えること。いまはあらゆる手段で情報を手に入れることができるので、かえって情報の渦に巻き込まれてしまいかねません。そのためにも自分の頭で考えて、自分なりの意見を持つこと。そして一歩を踏み出す。そうしない限り、何も始まらないのですから。

――リバースプロジェクトはいくつもの結果を残してきましたね。今後はどんなふうに展開していこうと考えてますか。

 もっともっと、同じ意識をもっている人が横でつながっていくことができれば、と思っています。アイデアをオープンソース化して、誰でもプロジェクトに参加できるようにしたい。誰もが責任を持って進められるように。これが、これからの株式会社としてのあり方だと思っています。
 それから、インターネットなどのソーシャルメディアを賢く使って、持続可能な社会を実現させたいという考えをもつ「志民」をつなぐようなシステムをつくっていきたいとも考えています。傍観者にとどまりかねない観客型民主主義から、みずから当事者として動く参加型民主主義へ。そのための活動も広げていきたいです。

――最後に、いま思うことを聞かせて下さい。

「社会彫刻」というとなにやら堅苦しく響くかもしれませんが、介護をすることや、人のために食事の準備をすることも立派なアートだと思います。社会の中での役割を意識してさえいれば、仕事という形をとっていなくても何でもいいのです。そういう風に考えていくと、目には見えない彫刻もある。そう、だれもが、社会を形づくる、社会を変える彫刻刀を懐にしまいもっているのだと思います。(おわり)

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PROFILE

リバースプロジェクト

俳優、映画監督の伊勢谷友介が09年に株式会社リバースプロジェクトを設立。東京芸術大学の同級生らとともに、デザインで、社会的に利用価値が低いとされているものに新たな命を吹き込み、よみがえらせる「再生プロジェクト」を展開している。原発事故で見送られた卒業式を飯舘村の子どもたちにプレゼントするなど、社会貢献につながる「元気玉プロジェクト」なども活動している。

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