リノベーション・スタイル

<20>玄関になんと3千冊収容の本棚

  • 文 石井健
  • 2013年6月5日
[eiffel](東京都世田谷区)Yさん(46)/築39年/67.48m²/工事費約1000万円

  • [eiffel](東京都世田谷区)Yさん(46)/築39年/67.48m²/工事費約1000万円

  • 玄関に入ると壁一面に本棚が出現する。扉を閉めれば書斎に

  • 床はパイン材。濃いブラウンで塗装し、落ちついた雰囲気に

  • 白い壁の向こう側に洗面台とバスルームがある

  • 間接照明でリラックスできるバスルーム。壁はモルタル仕上げ

  • “ecosmart Fire”の暖炉は煙がでないのでマンション向き

  • 間取り図

 Yさんは、ビンテージ家具など、古いモノが持つ味わいが好きな方。もともとは古い戸建てに住んでいましたが、老朽化で引っ越しをしなくてはいけなくなり、同じエリアで新居を探していらっしゃいました。最初は新築マンションも視野に入れていましたが、気に入ったものが見つからず、中古マンションを購入してリノベーションをすることに。

 そして、偶然出会ったのが今回の部屋。3面に窓があり、周囲より小高い場所にあるので眺めは抜群です。少し変わった形の間取りだったのですが、構造上取り壊せない壁だけを残し、キッチン、リビング、ベッドルームをひとつの空間に配置しました。部屋に入ると窓の外まで視線が抜け、広々とした印象を受けます。取り払えなかった壁の向こう側は個室のままにし、お客様が来たときに泊まってもらう部屋などとして活用することにしました。

 リノベーションの際に、Yさんから強い要望があったのは、膨大な本を収納する書斎が欲しいということ。そこで、玄関スペースを広くとり、床から天井までびっしりと本を置ける壁一面の本棚を作りました。梁の上にも収納スペースを作ったので、3千冊くらいは入るのではないでしょうか。玄関に本を収納するというのはちょっと斬新かもしれませんが、窓がないので本が日焼けしませんし、ドアを閉めれば一つの空間になり、廊下が書斎になります。

 もう一つ、要望があったのが暖炉です。マンションの部屋に薪ストーブの暖炉を設置するのは難しいですが、今は「エコスマートファイアー」というバイオエタノールを使う暖炉があります。要はアルコールランプを使ったガスコンロのような仕組みです。換気設備や配管などの工事をする必要がなく、有害物質を含む煙が出ないため、都心のマンションでも暖炉を作れるんです。

 バスルームを開放的にしたのも特徴ですね。キッチン横に上部が開いた白い壁がありますが、その裏に洗面台があり、そのままバスルームへ続いています。壁1枚を隔てて一続きになっているので、ベランダからの光と風がバスルームまで届きます。バスルームは間接照明とガラスブロックを組み合わせ、開放的ながらも落ち着いた雰囲気になっています。

 明るくシンプルな部屋に、センスのいい家具や小物が映え、丁寧な暮らしが伝わってくるお部屋ですよね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)


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