リノベーション・スタイル

<21>廊下に「広場」、バルコニーに風呂

  • 石井健
  • 2013年6月12日
[aki](東京都北区)Hさん夫婦(夫42歳、妻40歳)/築17年/68.09m²/工事費1000万円

  • [aki](東京都北区)Hさん夫婦(夫42歳、妻40歳)/築17年/68.09m²/工事費1000万円

  • 天井を大きくくり抜いたことで、廊下が“広場”のような空間に

  • 廊下を挟んで右側が和室、左側がキッチンだ

  • 縁側のような板の間を舞台に見立てて、落語会を開催したことも

  • バスルームの窓を開くと、インナーテラスを挟んで庭へつながる

  • キッチンや和室以外にも、個室が2部屋ある

  • 間取り図

 これは、通常の“中古マンションのリノベーション”というケースとは少し違います。不動産会社が大手企業の社宅を一棟丸ごと買い取り、私たちブルースタジオがデザインを監修しました。その際にもうけた「自由設計」という選択肢を選んだのがHさん夫妻です。

 おふたりもともと人を招いてパーティーをするのが好きで、新しい家でもバーカウンターのようなものを造ることになりました。ただ、キッチンにバーカウンターを造ると、設計上、廊下に椅子を置くような形になってしまいます。廊下に座るというのはなんとなく居心地が悪いですよね。そこで考えたのが、カウンターのあるスペースを広場のような雰囲気にすること。廊下という“小径”を歩くと“広場”に出て、そこを通り抜けてまた“小径”へ……。そんなイメージで、カウンター正面の壁に曲面を造り、天井もそこだけ楕円形にくり抜いて空間にふくらみを持たせました。ちょうど透明の円柱がある感じです。そんなちょっとした工夫で、廊下だった空間が「人が集まる場所」「座れる場所」に変わるのです。

 キッチンの向かい側の部屋は和室です。扉のない壁に仕切られ、緩やかにつながっています。ちょうど工事をしていた頃に、ご夫婦が京都で欄間を購入されてきたので、縦にして壁にはめ込みました。和室のバルコニー側は3畳ほどの板の間になっていて、縁側のように腰を掛けることができます。茶室や数寄屋建築によくみられる、板の表面を削って凸凹させた「名栗加工」が施されています。素足で歩くと気持ちがいいんですよ。この和室を舞台に見立てて、落語家を呼び、マンションの住民の方と落語会をやったこともあるそうです。

 ちなみにこちらの物件は1階で庭付き。人目が気にならないので、お風呂をバルコニー側に持ってきています。お風呂とバルコニーの間をインナーテラスのような空間にしてひと続きにしたので、お風呂の窓を開けると外とつながります。

 脱衣場がありませんが、キッチンの横にカーテンレールで仕切れるスペースがあるので、お風呂に入るときだけそこを脱衣場にしています。そうすることで、日常生活のスペースを広く使うことができました。

 キッチンまわりはイタリアンバーのような空間で、その向かいはモダンな和室。そして、お風呂側はリゾートスパのような空間。エリアによって違う雰囲気を楽しめるお部屋になりました。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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