リノベーション・スタイル

<24>シャープな「独房」にレンガのアクセント

  • 文 石井健
  • 2013年7月3日
[SOLID](東京都葛飾区)Uさん(34歳)/築31年/56.65m²/工事費850万円

  • [SOLID](東京都葛飾区)Uさん(34歳)/築31年/56.65m²/工事費850万円

  • 梁はすべて壁で隠し、すっきりとさせた。

  • 縦二つに並んだ照明が部屋のアクセントになっている

  • リビングの天井は、既存のコンクリートを生かした

  • フローリングは粗っぽく仕上げた。家具が映えるシンプルな空間だ

  • “セメントのこぼれ具合”まで計算してレンガを積んでいる

  • 間取り図

 この部屋は、もともとご両親の持ち物でした。そこにUさんが1人で住むことになり、リノベーションをすることに。

 Uさんの中には、当初から明快なコンセプトがありました。それは、「おしゃれな独房」というもの。要塞のような、どこか堅くて冷たく、シャープでストイックな部屋を希望していました。そこで提案したのは“SOLID”、つまり素材を塊で見せていくという方法です。できるだけ不必要なものをそぎ落とし、シンプルですっきりとした空間を目指しました。

 ポイントは、存在感のあるレンガ造りのキッチンです。レンガを使うときは、レンガタイルやスライスレンガを壁に貼ることが多いのですが、今回は本物のレンガを積もう、ということからすべて始まりました。

 レンガはわざと無骨な感じで積んでいます。ふつうはヘラを使ってきれいに仕上げますが、セメントのこぼれ具合まで細かく指示して、「ネパールの山奥にある小屋」のようなイメージを演出しています。

 レンガ部分はざっくりとした感じですが、ステンレスの天板部分は高精度。直角部分など、精度の高いものと低いものを合わせるのに意外と苦労しました。

 LDKの天井は、コンクリートをそのまま生かしました。床はシンプルなオーク材です。壁は白とグレーのコンビネーション。グレーに塗られた壁の向こう側にバスやトイレ、寝室があります。レンガキッチンがなければ、かなりコンテンポラリーな空間です。寝室だけは絨毯(じゅうたん)を敷きました。

 玄関とリビングに二つ縦に並んだ照明がありますが、これは設計担当が以前から暖めていたアイデア。新しいタイプの電球で、器具を壁に埋め込み、壁から球の表面だけが見えるようになっています。二つ電球が並んでいると、どこか生き物のようですよね。写真では伝わりにくいかもしれませんが、なかなかいい感じなんですよ。

 置いてある家具は、ル・コルビジェ、イームス、ルイス・ポールセンなど存在感のあるものばかり。Uさんは、収納の3分の1も埋まってないほどモノが少ない方ですが(笑)、時代を生き延びてきたものを一つ一つ厳選していらっしゃいます。もともと“独房”から始まったリノベーションでしたが、最終的にはとても贅沢(ぜいたく)な空間になりました。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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