リノベーション・スタイル

<26>間取りはそのままでも、“広場”で一変

  • 文 石井健
  • 2013年7月17日
[用賀H邸](東京都世田谷区)Hさん一家(夫44歳、妻45歳、子ども10歳)/築31年/84.26m²/工事費1290万円

  • [用賀H邸](東京都世田谷区)Hさん一家(夫44歳、妻45歳、子ども10歳)/築31年/84.26m²/工事費1290万円

  • 玄関へつながる廊下は緩やかなスロープになっている

  • 個室への入り口はアーチ形に。まるで教会のような雰囲気

  • 浴槽のタイルはご主人の要望。ひとつひとつ時間をかけて選んだ

  • 「海外で住んでいた家のような雰囲気で」と相談を受けた

  • 明るいダイニング。造作した本棚はたっぷりとモノを収納できる

  • 間取り図

 この物件は1980年代初頭にできた有名な集合住宅で、3階建ての低層マンション。共用部分もしっかりしていて、時を経ても人気があります。

 Hさん夫婦はだいぶ前にこちらの物件を購入していましたが、ご主人の仕事の関係で、長い間ヨーロッパに住んでいらっしゃいました。その間は賃貸に出していましたが、帰国後、新たにリノベーションをして住むことになりました。

 ご主人は公務員、奥様は書くことを仕事としており、仕事柄、本の量が多いご家庭。リノベーションの1番のテーマは本の収納でした。

 ただ、このマンションは壁が構造体になっているため、大きく間取りを変えることができません。そこで、ゾーニングはほとんど変えず、主寝室と奥様の仕事部屋、子ども部屋の個室をつなぐスペースに書斎兼ライブラリーの広場のような空間を作りました。

 “広場”は直径2メートルほどの円形の空間で、天井まで本棚を作ったので収納もたっぷり。デスクもあるので、それぞれの個室のドアを閉めれば、ここも一つの部屋になります。扉を開ければ個室同士がつながり、お互いの存在を感じられます。個室から出るときには必ずこの“広場”を通るので、廊下だったら通過するだけの空間が、家族が交差しコミュニケーションできる場所に変わりました。 

 それぞれの個室の扉はアーチ型にして、どこかヨーロッパの教会のような雰囲気に。小学校高学年で受験勉強中というお子さんの部屋を一番広く取り、奥様の仕事部屋は、最低限必要な書類や本のスペースをギリギリに取って作りました。少し狭いので、扉を両開きにしています。主寝室は、家具などの大きさを測ってちょうどよい大きさに設計しています。

 その他、大きく分けて3カ所に、床から天井までの大きな本棚を設置し、よく使う本とそうでない本を整理して、収納しました。

 LDKはキッチンが半クローズドで解放感がなかったため、キッチンカウンターの使い方、視線の抜けや動線を調整して、LDKの一体感を出しました。ダイニングの天井は、ご主人の要望で、檜(ひのき)を貼って他のエリアと雰囲気を変えています。

 間取りを変えないまま、ちょっとした空間のつなげ方で大きく雰囲気を変えることができるよい例ですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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