世界美食紀行

王様・ドリアンと女子的スイーツ マレーシア(2)

  • 文 江藤詩文
  • 2013年7月22日

写真:「猫山王」のドリアンは1個60マレーシア・リンギット(約2100円)。XOやD24は、果肉の色が乳白色に近いのですが、猫山王は卵の黄身のような濃いオレンジ「猫山王」のドリアンは1個60マレーシア・リンギット(約2100円)。XOやD24は、果肉の色が乳白色に近いのですが、猫山王は卵の黄身のような濃いオレンジ

写真:マレー伝統菓子“クエ・ラピス”のひとつ。台になっているのは古代米のもち。グリーンはパンダンリーフという東南アジアでよく使われる植物、黄色はかぼちゃですマレー伝統菓子“クエ・ラピス”のひとつ。台になっているのは古代米のもち。グリーンはパンダンリーフという東南アジアでよく使われる植物、黄色はかぼちゃです

写真:オレンジ、パイナップル、マンゴー、グアバ、パッションフルーツ……。リゾートホテルでは、フルーツを豊富に使ったアルコール・フリーのバージン・カクテルがいっぱいオレンジ、パイナップル、マンゴー、グアバ、パッションフルーツ……。リゾートホテルでは、フルーツを豊富に使ったアルコール・フリーのバージン・カクテルがいっぱい

写真:マンゴー・スイーツもやっぱりはずせません。裏ごししただけ、みたいな濃厚なマンゴーを、ゆるゆるに固めたジュレに、ナタ・デ・ココとマンゴーの果肉をミックスマンゴー・スイーツもやっぱりはずせません。裏ごししただけ、みたいな濃厚なマンゴーを、ゆるゆるに固めたジュレに、ナタ・デ・ココとマンゴーの果肉をミックス

写真:思い思いのトゥドン(女性が髪の毛を隠すスカーフ)と、ラインストーンを多用したキラキラのスカーフ留めで個性をアピールしているマレー女子たち。ジェルネイルをしている人も多い思い思いのトゥドン(女性が髪の毛を隠すスカーフ)と、ラインストーンを多用したキラキラのスカーフ留めで個性をアピールしているマレー女子たち。ジェルネイルをしている人も多い

写真:マレーシアでよく飲まれるのが、ミルクと砂糖入りコーヒーと「テタレ」という紅茶。濃く淹れた甘いミルクティーを高い位置から何度か注ぎ、カップのなかで泡立てますマレーシアでよく飲まれるのが、ミルクと砂糖入りコーヒーと「テタレ」という紅茶。濃く淹れた甘いミルクティーを高い位置から何度か注ぎ、カップのなかで泡立てます

写真:宿泊したホテルの屋上にある、プールサイドのバーから見た夜景。著しく発展を遂げたクアラルンプールを象徴する、KLタワーとペトロナス・ツインタワーが一望できました宿泊したホテルの屋上にある、プールサイドのバーから見た夜景。著しく発展を遂げたクアラルンプールを象徴する、KLタワーとペトロナス・ツインタワーが一望できました

 突然ですが、ドリアンはお好きですか?

 “キング・オブ・フルーツ”と讃えられる一方、ホテルや公共交通機関などからは、「持ち込み禁止」とこぞって閉め出しをくらう、かわいそうな王様。

 以前試したときには、食べられないほどではなかったけれど、やみつきにもなりませんでした。「マンゴーや女王様(=マンゴスチン)のほうが好み」と判決を下し、「大人になればわかる」とか「3回食べればハマる」とか言われながら、その存在を忘れかけていたのです。

 あれから早幾年。なり過ぎたくらい、じゅうぶん大人になったいま、思いがけず、3度目の機会がやってきました。それも道路脇の露店。強烈な日射しの下、立ち食いで……

ドリアンだってブランド化

 露店に立ち寄ると、ドリアンがブランド別に仕分けされています。この店で扱うのは3種類。ブランデーのように香りがいい「XO」、もっとも出回っている「D24」、そして最高品質の「猫山王」。

 ドリアンといえば、強いニオイが特徴です。硫黄の温泉でゆでた卵と、夏祭りのわたあめを混ぜたような、あの独特のニオイ。ところが猫山王は、それほど気になりません。熟れ過ぎた南国系フルーツの香りの奥に、ちょっと発酵臭がしました。

 果肉はねっとりと密度が濃く、いかにも栄養豊富そう。つまりカロリーが高そう。“森のバター”といわれるアボカドを、さらに水分を減らしてまったりさせたような、重たい舌触り。のどの奥から戻ってくる発酵の香りが、醸造系の密造酒を思わせる禁断の味。

 ドリアンの味がわかる年ごろになったということでしょうか。3度目にして、まんまととりこになったのでした。

 そして、もうひとつハマったのが、「クエ・ラピス」というマレーの伝統菓子です。餅米由来のもちもちした食感が楽しく、和菓子に通じる繊細さもありながら、ココナッツミルクがエスニックなフレーバー。黒砂糖にも似たパームシュガーが、やさしい甘さを加えています。

 どこの国でも、“女性はスイーツが好き”というのは、定説なのでしょうか。色とりどりのスカーフをひらひらさせながら、女子が集まってにぎやかに笑い、カラフルなスイーツを食べている。その風景は、とてもマレーシアらしく、美しいものでした。

ちょこっとイスラム入門

 そもそも、マレーシアの人たちは「スダ・マカン?(もうごはん食べた?)」が挨拶代わりになるほど、食べることが好きなのだとか。

 自然がもたらす恵みのフルーツと、技巧を凝らしたかわいいスイーツが街中にあふれています。カフェや屋台など、場所を問わないので、いつでもおやつにありつけるのです。

 お酒については、正直なところ、イスラムの国ゆえ、旅行者向けのレストランでも品揃えはイマイチだし、値段も高い。屋台では、お酒を置いていないことがほとんどです。人なつこいマレー女子と、おしゃべりに興じながら、お酒ぬきでフルーツ・ジュースなんて飲んでいると、体内から浄化されるよう……。

 これから日本は、中東との間で、人の行き来が増えると予想されています。これまで、あまりなじみのなかったイスラム文化に、今後は触れる機会も増えるでしょう。

 マレーシアって、イスラム文化の入り口を学ぶのにぴったりかも。

 髪をスカーフで覆い、流行のファッションをまとったマレー女子の素朴な笑顔を見ながら、ふと思いました。

■取材協力:マレーシア政府観光局クラブメッド・チェラティンビーチ マレーシア

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PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)

旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化を体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案する。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。「江藤詩文の世界ゆるり鉄道旅」をmsn産経に連載中。

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