太陽のまちから

消えた争点 見えない放射線はいまも

  • 文 保坂展人
  • 2013年7月23日

写真:福島県本宮市のスマイルキッズパーク(写真提供 世田谷区)
福島県本宮市のスマイルキッズパーク(写真提供 世田谷区)

 7月21日の夜、参議院選挙の開票結果を見守りました。総務省が夕方に発表した投票率が27.21%と聞いて驚きましたが、暑さを避けてそれ以降に投票所に行く有権者が多かったようです。世田谷区の投票率は54.92%。それでも、総有権者数72万2082人のうち、32万6223人が棄権したことになります。

「経済」「景気」がクローズアップされた参院選では、「震災復興」や「原発」も大きなテーマだったはずです。でも、大勝したのは、政党で唯一、「脱原発」「脱原発依存」を掲げない自民党でした。

 参院選の翌日、年に1度は被災地を訪れることにしている私はまず、福島に入りました。最初に向かったのは、交流自治体でもある福島県本宮市。福島第一原発事故の影響は色濃く、目に見えない放射線を意識しながら仮設住宅などでの生活が続いています。

「ぜひ見て下さい」と案内されたのが、ホールボディカウンターの検査場でした。2011年暮れに設置された機器(検出限界値300ベクレル)は、座位で5分間計測すると、その場で結果を知ることができるため、多くの母子が訪れているそうです。

 続いて、「スマイルキッズパーク」
を訪ねました。就学前の子どもたち向けの屋内施設でとくに目を見張ったのは、スウェーデンから輸入した「ダンシングサンド」と呼ばれる35m²の室内砂場でした。

「水に濡らさなくてもしっとりとした手触りになるよう砂に加工がしてあるので、いろいろな形をつくる遊びができるのです」(根本真弓・保健福祉部長)

 私も手の平に砂をのせて固めてみましたが、簡単にボールやおにぎりの形がつくれます。大変な人気で、親子で砂遊びに熱中する姿がありました。

「あれ以来、砂を触ることができなくなっていたので、砂遊びは今日が始めてです」

 そんなお母さんの声も耳にしました。事故以来、放射線の影響で外遊びを控えてきた子どもたちにとって、「スマイル・キッズパーク」は久しぶりに大声をあげて身体を動かすことのできる場所として人気が高く、近く小学生向けのコーナーを拡張するそうです。

 続いて訪れた福島県二本松市では、屋内の遊び場「げんきキッズパーク」はあるものの、子どもたちは外出を控えがちなため、体力が低下したり肥満になったりする問題が出てきているそうです。

 ところで、世田谷区では「東日本大震災復興支援金」を呼びかけ、これまでに8433万6633円(7月12日現在)をお寄せいただきました。6月には、ひとりの区民の方から「絶対匿名」を条件に3千万円の寄付をいただき、新たな気持ちで被災地支援を継続したいと決意しました。

 復興支援金は「子どもたちの養護や教育環境の整備に役立ててほしい」と、これまで3回にわたって被災自治体へ届けてきました。さきに触れた本宮市の「スマイル・キッズパーク」や二本松市の小中学生向けスキー教室などにも使われたそうです。

 福島を後にして、私は宮城へと向かいます。気仙沼市で、世田谷区から派遣中の職員の話をじっくり聞くつもりです。その後、岩手県陸前高田市をへて、同じく職員を長期派遣している宮城県南三陸町、最後に東松島市を訪れる予定です。

 東松島市では24日、歌手の石川さゆりさんを招いて「復興支援シンポジウム」(大塩市民センター)が開かれ、息長く復興支援への取り組みを語り合う予定です。石川さんは、東松島市の大曲浜で歌い継がれてきた「浜甚句(じんく)」が消えてしまうことのないよう、地元の熱意ある漁師さんと保存のために活動されています。

 私の被災地めぐりはまだ、続きます。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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